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好きという気持ちを伝えるには、“言葉選び”よりも“言葉調べ”が大切。恋の相談にコピーライターの阿部広太郎さんからアドバイス<木曜日の相談室 vol.18>

目まぐるしく変化する毎日、慌ただしく駆け抜けた今週もあと少し。そんな木曜日の1日に、ほんの少しだけ気持ちが軽くなれるお部屋、「木曜日の相談室」

第9回目のゲストは、コピーライターの阿部広太郎さん。「いま、わたしが相談したいこと」をテーマに相談を募集し、阿部さんに話をお聞きしました。

阿部広太郎さん プロフィール
2008年、慶應義塾大学経済学部を卒業。広告会社に入社後、人事局に配属されるも、クリエーティブ試験を突破し、入社2年目からコピーライターとして活動を開始。自らの仕事を「言葉の企画」と定義し、エンタメ領域からソーシャル領域まで越境しながら取り組んでいる。著書にnoteクリエイター支援プログラムをきっかけに刊行した『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』(ダイヤモンド社)、『待っていても、はじまらない。-潔く前に進め』(弘文堂)、『それ、勝手な決めつけかもよ? だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。「企画でメシを食っていく」主宰。
Twitter:@KotaroA
note:書籍「待っていても、はじまらない。―潔く前に進め」

相談②:「好きな人に好意を伝える言葉選び」

悩める鈴木さん(20代・男性)
好きな人に好意を伝える際の質問です。 現在、何年かぶりに好きな人が出来ました。何度か2人でご飯に行っているような仲なのですが同僚ということもあり、私自身が距離を縮められるよう踏み込めていない状態です。気持ちを伝えるまではいかないにしても会話の中で好意を伝えられるような言葉選びはどんなところに気をつければ良いでしょうか?

まずは“言葉選び”より、“言葉調べ”で共通言語を増やそう

いやあ……いいですね。悩める鈴木さんのお話を聞いて、ある話を思い出しました。「アメリカの方に恋をして、自分の気持ちを伝えたくて、気づいたら英語が上達していた」というようなエピソードです。相手に惹かれた結果、会話をしたくて相手の母語まで学ぶ意欲がわいてきた、というお話ですね。

おそらく悩める鈴木さんとお相手の方、お互いに興味や関心のある分野に違いがあると思うんです。そこで、「相手のことをもっと知りたい」という気持ちを活かし、相手の興味や関心のある分野まで知ろうとすることが重要なんじゃないかと思います。

確かに、自分の好意を伝えるための“言葉選び”も大事です。しかし、好意を伝えるためにも、“言葉調べ”というか、相手が使っている言葉の背景にある考え方や文化を知ることが大事だと僕は思うんです。

相手が喜びそうな言葉を選ぼう、何か気の利いたことを言おう、とするよりも、相手がどんな環境で育ち、どんなものを大事にしているのか知ること。そうやって歩み寄り、共通言語を獲得することで、結果的に距離が縮まるのではないでしょうか。

相手の好きな音楽や、好きな映画……何でもいいんです。相手の背景を知ることで歩調や歩幅を合わせていける気がします。直接言葉で気持ちを伝えるまでいかずとも、そういう姿勢を持つことで、気持ちは十分に伝わるような気がします。

何を話すかより、何を聞くかが一番の発言

僕は、自分が何を話すかより、相手に何を聞くかが一番の発言なのだと思っています。自分のことをアピールするのではなく、相手を知ろうとすることがアピールになる。なので、たとえば「そういえば、好きな映画とかってある?」と伝えてみてはいかがでしょうか。

このnoteが公開された今、おふたりはどんな状況ですか?すでにふたりで何度かご飯に行っているんですよね。きっといつかふたりの関係性に名前を付けるタイミングがくるでしょう。そのときは自分の気持ちをハッキリと伝えないといけませんが、その瞬間を作るためにも、やはり相手を理解するための行動が大事なのかと思います

きっと、悩める鈴木さんがここまで悩むくらいでしょうから、お相手の方も好意には気付いているのではないでしょうか。そして、強引に距離を縮めようとしないその姿勢に対し、きっと悩める鈴木さんの優しさを感じ取っているはずです。

今はとにかく、相手の気持ちや考えをたくさん受け取っていくこと。そうしていくうちに、きっと踏み込みたくなる瞬間がくるでしょうし、そのときがくれば言葉選びのことは忘れて、素直に思いを言葉にしていいと思います。

相談③:「大学生活の優先順位の付け方」

りなさん(20歳・女性)
私は今、自由な大学生活と就職活動のサンドイッチの具になっている気分で、この具の中身のぐちゃぐちゃ具合をどうにかしたいと感じています...…。大学3年生のこれからの時期、就職活動でやるべきことが増えていくと思うのですが、コロナ禍で思うように動けなかった分の発散なのか、学業・趣味・課外活動などあらゆるところで「頑張りたい!」という熱が出てきていることを感じます。
一方で、その熱と向き合おうとしたとき、大学生活の有限な時間がどんどん減っていくことも不安で。 今から何かに強くハマっても就職活動が迫っているのならば打ち込む時間がなくなってしまうのでは...もっとやるべき事があるのか…...? などと考え出して、没頭することに迷いを感じる時が多々あります。
このままだと、どれも中途半端になっているような気がして、消化不良でモヤモヤします...…。 あらゆる複数のことと同時期に向き合いたいとき、どのようなことを大事にすれば気持ちよく本気で取り組めるでしょうか...…?

自分の中で優先順位を付けてマネジメントすることが大切

おそらく、こうした悩みを抱えているのはりなさんだけではないと思います。ここ数年はコロナ禍で授業もオンラインで、最近ようやくキャンパスに行けるようになったのに、もう就活をしなければいけない――本当に大変ですよね。サークル活動や課外活動など、やりたいことがたくさん溜まっていると思います。

今回、りなさんの相談を受けて思ったのは、「自分の人事部長は自分だ」ということです。りなさんの中にも「学校の勉強を頑張りたいりなさん」「趣味を楽しみたいりなさん」「課外活動に励みたいりなさん」といったように、いろんな自分がいるんだと思います。

僕は人事局で働いていた経験があるのですが、ここで重要なのは、どのりなさんをリーダーに配置するかということ。たとえば「課外活動に励みたいりなさん」をリーダーに置きながら、全体を見てみる。優先順位を付けて割り振ってあげることが大切だなと感じます。

「サンドイッチ」を作る目的だけは大事にしよう

りなさんは「サンドイッチの中身がぐちゃぐちゃになっている」とおっしゃっていますが、サンドイッチを作るのはりなさん自身ですし、具材をハムにするのか、トマトにするのか、タマゴも入れたいのか、そこを考えるのはりなさんの自由です。

そして、実際のサンドイッチは何回でも作り直せます。時には中身の具をガラッと変えちゃってもいいと思います。ただし、作った先にどうしたいのか、その目的だけは大事にしたほうがいいかもしれません

やりたいことがたくさんあると、具材がぐちゃぐちゃに見えるかもしれませんし、周りの人からも「いろんなことやっているよね」と言われるかもしれません。でも、自分なりの目的が見えていれば、少なくともりなさん自身はスッキリできているはずです

まずは、具の整理ですね。今やるべきこと、今やりたいことをすべて列挙して書き出すことから始めてみましょう。そうするだけでも、心のモヤモヤは徐々にクリアになって、気持ちも楽になっていくと思います。サンドイッチの話ばかりになってしまいましたが、ぜひ自分なりの、とびきりのオリジナルサンドを完成させてほしいです!


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