世界の主人公は自分自身。アナウンサーの堀井美香さんが考える「メンタルが弱っているときの乗り越え方」<木曜日の相談室 vol.20>
目まぐるしく変化する毎日、慌ただしく駆け抜けた今週もあと少し。そんな木曜日の1日に、ほんの少しだけ気持ちが軽くなれるお部屋、「木曜日の相談室」。
第10回のゲストは、アナウンサーの堀井美香さん。前回に続き、「いま、わたしが相談したいこと」をテーマに相談を募集し、堀井さんに話をお聞きしました。
相談②「メンタルが弱っているときの乗り越え方」
まずは「プライベートが生活のメイン」と頭を切り替えよう
詳しいことはわかりませんが、とても大変な状況だということは伝わってきます。「とりあえず嫌なことから逃げてください」と私が言うのは簡単ですが、きっとほとんどの人はそういうわけにもいかない事情があるはずですし、おそらくもちさんもそうなのでしょう。
まずは、生活の主軸を置き換えて考えてみることが大事なのかもしれませんね。
もしも今、会社での時間のほうが生活のメインになっているのだとすれば、「プライベートのほうがメインで、会社のほうがプラスアルファである」と思考を切り替えるんです。生活の本筋を意識として変えるだけでも、少しは気持ちが楽になる可能性はあります。
他にも退勤後の楽しみなどを見つけるのも効果的だと思いますが、心が疲れているときは何もしたくないし、好きなテレビさえ見たくないと思うものなんですよね。私も今、若干そういう時期なんですけどね……(笑)。
ただ、何かを楽しむ気力さえなくても、3日に1回くらいは何かテンションの上がる予定を入れるよう心掛けるといい気がします。
アロマや漢方など、ちょっとした工夫がテンションを上げてくれる
私は今、更年期に差し掛かっているのですが、女性ホルモンが低下しているからでしょうか、日頃からあまりやる気が出ないんです。
ついイライラしたり、意気消沈したりと、人によって症状が違うし波も激しいらしいのですが、私も「今日はちょっと駄目かも」っていう日が結構あるので、イソフラボンを飲むなど、対策は取っています。
私の周りの人も、頼るところには頼っていますね。具合が悪いときは自分ひとりで悩むのではなく、ちゃんとジャッジしてくれる人に診てもらって、症状を把握することが大切だと思います。もちろん、もちさんもきっと医者にかかったりしているとは思いますけどね。
病院だけではありません。以前、どうしてもやる気が出なかったときに、アロマセラピストの資格を持っているメイクさんが、「この香り、オススメですよ」って、アロマを嗅がせてくれたんです。それがすごくいい匂いで、その日は1日テンションが上がったというか、ちょっと幸せな気持ちになれたんです。
私も詳しくはないですが、アロマや漢方など、長年「良い」とされているものにはそれなりの理由があるのだと思いますし、もちさんも関心があれば一度試してみるのもいいかと思います。もちろん、「いいお茶を飲む」「美味しいケーキを食べる」といった方法でもいいですし。
表に出れば、悪口を書かれることもある。エゴサで落ち込む日々
私も会社員時代は、人間関係で悩むことももちろんありました。そういうときは会社に行きたくなかったですね。
それでもなぜ会社に行ったかというと、上司に怒られるのが怖かったから(笑)。「休みたいけど、休んだら上司に怒られる」と考えると、そっちのほうがよっぽど辛い状況になってしまうので、仕方なく出社していました。
私は自分がまだ社会人としてすごく未熟な段階で子育てに入ってしまったので、30歳で復帰したときは本当に大変でした。でも、自分の中で優先順位がハッキリしていたのはよかったかもしれません。
例えば、子どもがまだ小さいときは「この期間は育児がメインで、仕事は3割くらい」と決めていたので、復帰後も欲張らずに、「この仕事はできません、ごめんなさい」と明確に線引きできました。
逆に、「子どもが少し大きくなったら比重を仕事にシフトしていこう」と、自分の中でキャリアの時間割のようなものを持っていたので、それは役立ちましたね。
でもやっぱり、悪く言われているのが聞こえると落ち込みます。私はネットでエゴサーチもしますが、些細なことでもすぐに落ち込んじゃうタイプですから(笑)。
99%は良いように書かれていても、1%は必ず悪口があるんですよ。そういう書き込みを見ると、しばらくは落ち込みます。私、そんなに強くないので。
世界の主人公は自分自身である、という考え方
これは、とある方が言っていたことなのですが、その方の娘さんが学校でいじめられていたときに、毎日娘さんに「世界は全部、あなたを中心に回っていると思いなさい。周りはみんな脇役で、主人公はあなた。あなたは周りに動かされているんじゃない。今あなたが生きていること、今あなたが取り組んでいることが大事で、その他の人たちはあなたの人生に付随しているだけなの」と伝えていたそうです。
私も娘が小中学生のとき、よく同じように言い聞かせました。娘の場合はこの言葉を別に必要としていなかったので、あまり役に立たなかったかもですが(笑)。でも、すごく素敵な考え方だなと思うんです。
もちさんも、「会社があって、社員がいて、私がいる」と考えるのではなく、「私がいて、社員がいて、会社があるんだ」と、立場を逆に考えてみるといいんじゃないでしょうか。そうすれば、どんな仕事でも誰かのためのオマケでやっているのではない、自分のやっている仕事こそがメインなのだ、と胸を張れるんじゃないかなと思ったりします。
目の前の幸せと、ちょっと先の幸せ。モチベーションを高める両輪
他にも、長期的な目標を持つこともオススメです。「今日は仕事後にカフェに行く!」みたいな直近の幸せだけでなく、1年後にも何か素敵なイベントを用意しておいて、それを糧に気持ちを維持するという方法ですね。
私は最近、斉藤和義さんのライブチケットが当たったんですよ。まだ数カ月先のことですが、もう今から楽しみで!(笑)。東京公演はハズレちゃったけど、地方コンサートのチケットを購入できたんです。でも、今は逆に東京じゃなくてよかったなと思っています。
考えてみれば、斉藤和義さんのライブがなければなかなか行く機会のない土地ですし、せっかく行くなら地元の美味しいご飯も食べたいし、奮発してちょっといいホテルにも泊まろうと思っています。
昔ラジオを聞いていたら、あるお笑い芸人さんが、「若いときは生きてるのが嫌だったけど、毎週発売されるマンガだけを楽しみに生き延びていた」っていう話をしていました。そこまで大袈裟な話じゃなくても、直近の幸せと、ちょっと先の幸せ、その両方を設定しておくことがモチベーションの維持に繋がるかもしれません。
それに、あまり無責任なことは言えませんが、辛い時期もずっとは続かないと思います。
私も、「この更年期のマッタリした気持ちがいつ終わるんだろう」「いつかまた毎日のようにテンションが高い日々が訪れるのかな」と思って、60歳くらいの先輩に相談してみたことがあるんです。すると先輩は、「一回終わるから大丈夫だよ。でも、また新しいのが来るからね」って笑っていました(笑)
先輩いわく、この先は骨が折れやすくなったり、目が見えにくくなったりするんですって。でも、それはしょうがないことだし、むしろこの時期が一回終わると聞いて安心しました。もちさんもきっと大丈夫。今抱えている辛さも、きっとどこかで落ち着くと思います。