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長く付き合える友達、どうやってつくる? 大人の友達作りは「根気」が大切。アナウンサーの堀井美香さんがアドバイス<木曜日の相談室 vol.19>

目まぐるしく変化する毎日、慌ただしく駆け抜けた今週もあと少し。そんな木曜日の1日に、ほんの少しだけ気持ちが軽くなれるお部屋、「木曜日の相談室」

第10回のゲストは、アナウンサーの堀井美香さん。「いま、わたしが相談したいこと」をテーマに相談を募集し、堀井さんに話をお聞きしました。

堀井美香さんプロフィール
元TBSアナウンサー。1972年3月22日生まれ、秋田県出身。1995年にTBS入社。これまでTBSの番組で多くのナレーションを担当。同局のナレーターとして圧倒的な実績を持つ。現在は週1回ポッドキャスト番組『OVER THE SUN』も配信中。1男1女の母。2022年3月にTBSを退社。現在はフリーのアナウンサーとして仕事をするかたわら、自身のプロジェクトとして朗読会を主催。著書に『音読教室 現役アナウンサーが教える教科書を読んで言葉を楽しむテクニック』(カンゼン)

相談①「長く付き合える友達の作り方」

わたぬきさん(30代、男性)
堀井さんは先輩・同僚・後輩など交友関係が広いとお見受けしますが、人との付き合い方でどんなことを大事にされていますか? 私は同級生や仕事の同僚と仲良くなっても、卒業したり退職した後は疎遠になってしまい、気がつくと友人と呼べる人が少ないです。どうしたら人と長くお付き合いできるでしょうか?

ちょっと意外? 「親友」と呼べる友達は3人くらい

確かに私は仕事柄、常に人に囲まれていますし、話せる人や知人もたくさんいます。でも、親友と呼べそうな友達は3〜4人くらいでしょうか。

親友の定義はわかりませんが、その人の前なら大泣きできたり、自分の嫌な部分も見せられたり、ふたりで一緒に旅行できたり……っていうのは、本当にそれくらいしかいないんですよ。

私の場合は育児が始まった時点で、それまでの交友関係が一度キレイさっぱりなくなりました。もう25年前のことで、当時は携帯電話もSNSもありません。連絡手段は年に一度の年賀状くらいだったので、どうしても自然と疎遠になってしまったんです。

数少ない親友は誰かというと、まずひとりは一緒にポッドキャストもやっているジェーン・スー。他にはここ10年くらいでぎゅっと仲良くなった女性、そして腐れ縁のママ友。

子育てが落ち着いてから久しぶりに再会した学生時代の友達は、お互い忙しくてなかなか連絡が取れなかったのですが、何かの拍子に連絡を取り合って、また仲良くなった感じですね。

オンラインゲームがつなぐ友情もある時代

ところで、わたぬきさんはどんな場所に居心地の良さを感じますか?

最近、仕事で若い子たちから、「彼女はいないし興味もない。大学でも誰かと一緒にいたりせず、普通に一人で授業を受けていた」という話を聞いて、とてもビックリしたことがありました。私たちの時代は誰かと群れないといけないと思い込んでいましたが、今は事情がまるで違うようですね。

コミュニケーションの変化は若い人だけではありません。私の知人の男性が60歳を過ぎてから畑仕事にハマったのですが、彼の奥さまは数年前からオンラインゲームにハマって、毎日深夜までゲームをしているそうです。

その方は朝5時頃から畑仕事をして、10時頃に家に戻るようですが、その時間になってようやく奥さまが起きてくるのだと言っていました。

一度、奥さまが夜な夜なゲームしているところをちょっと覗いてみたら、チャットで参加者にゲームのやり方を教えてもらっていて、すごく楽しそうだったと。しかも、自分の年齢をサバ読んでいたことが発覚したんですって(笑)。私もその気持ち、ちょっとわかります。

とにかく、コミュニケーションにはいろんな方法や空間があるんですよね。まずは、自分にとってどんな友達付き合いが心地いいものなのか、そのあたりを設定してみるといいかもしれませんね。

地域のコミュニティで共通の趣味を持った友人を探すのもあり

もしいつでも会える友達を作りたいのであれば、チャンスはたくさんあると思います。

私は郊外に住んでいますが、例えば地域を指定して検索すれば、コミュニティーサロンやサークルのメンバーを募集するページがたくさん見つかります。

内容も幅広くて、おじいちゃん・おばあちゃんが主体の囲碁教室もあれば、若者たちの登山サークルもあるし、お茶会サークルなんかもあるんですよ。

本当に誰かとじっくりコミュニケーションをとって長く付き合いたいなら、そういう場所に定期的に通って、波長が合う人を探すのもいいと思います。

写真教室でもいいし、アカペラサークルでもいい。「類は友を呼ぶ」と言いますから、自分の趣味趣向に合ったコミュニティに参加すれば、同じ趣味や夢を持った人に出会えますし、共通の話題も多いはずなので、きっと会話も弾むに違いありません。

自らPTAに立候補。積極的にママ友作りに励んだ結果

コミュニティといえば、私にはママ友というコミュニティがありました。

私は結婚して、まったく知らない土地で子どもを育てましたが、TBSのアナウンサーという仕事をしていたので、保護者の集いなどで「あの人、なんか見たことある」と遠巻きに見られたりして、そんな距離感で終わっちゃうのは辛いな、って思ったんです。

「こうなったら、もう完全に中に入り込まないと溶け込めない!」と思ったので、自分からPTAに立候補し、どんどんママ友をナンパしていきました(笑)。

とにかくめっちゃ声かけましたね。多分、あのときああしていなければ、そのまま置き去りになっちゃって、ずっと馴染めなかったと思います。

おかげさまで子どもたちの面倒もいろんなママ友に見てもらうことができました。私は土日の仕事も多かったので、息子の野球の試合もなかなか見にいけなかったのですが、先輩ママたちが勝手にうちに迎えに来て、子どものユニフォームを用意して試合に連れて行ってくれたんです(笑)。

もちろん、私も交代制で子どもたちの塾の送り迎えなどを担当しましたよ。

そもそもPTAは存在自体に賛否両論がありますし、無理に加入する必要もありません。徒党を組みたがらないママもたくさんいますし、そこは自分に合った選択をすればいいと思います。

私の場合はたまたま仕事が忙しかったうえに、見ず知らずの土地だったので、この方法がベストだったと感じています。

でも、子育てが終わって、子どもたちの進路がわかれると、ママ友たちとの連絡も自然と途切れていくんですよね。あくまで子どもあっての関係性だとみんなが割り切っているので、何の問題もありません。時々、町内で会うとものすごく長い立ち話をしますけど(笑)。

大人の友達作りは「根気」が大切

大人になってからの友達づくりは、小中学生のときとは違い、すぐに仲良くなれるわけではありません。もし、仲良くなりたいと思える人に出会ったら、根気よく声をかけていくことが大切です。

先ほど、ここ10年で仲良くなった女性がいると伝えましたが、彼女と親友になるまで10年間もかかりました。仲良くなったきっかけは落語です。

もともとお互いが関心を寄せながらも、ちょっとぎこちない関係だったんです。初恋の相手をデートに誘うみたいな感じで、互いに牽制し合っていた時期が続いたんですよ(笑)。でも、ちょうど私が落語に興味を持っていたタイミングで、「落語のチケットがあるから一緒にどう?」と誘ってくれて。

それからもすぐに仲良くなったのではなく、半年に一度くらいのペースで連絡を取り合いながら徐々に距離を縮めて、10年くらいかけて今に至った感じです。今では「30分後にあなたの会社の近くに行くんだけど、時間ある?」みたいなノリで気軽に連絡していますが、ここまでくるのには本当に長い時間がかかりました。

趣味や趣向に合った、居心地のいい空間を見つけること

新しい友達がほしくても、仲良くなるだけでそれなりに時間がかかります。新しいコミュニティに飛び込むとしても、最初は怖気づくこともあるでしょうし、必ずしもウェルカムな態勢で迎えてくれるとも限りません。そうなると、途中で気持ちも萎えてくる可能性があります。

ですから、スタートダッシュが大事かもしれませんね。コミュニティを一個ずつ順番に訪ねていくのではなく、最初にできるだけいろんなコミュニティに顔を出して、その中から自分に合った場所を絞っていく方法です。

学生時代と違い、大人になった今は波長や趣味が合う人を自分で選べる状況です。本来インドア派の人が、ガシガシ飲み会をやるようなサークルに入っても仕方がありません。

自分の趣味や趣向に合った居心地のいい空間を見つけられれば、きっといい友達に巡り会えるのではないでしょうか。