見出し画像

「中間管理職で結果が出せません」。会社員の悩みにプロゲーマー・ときどさんがズバリ回答。「仕事が“好き”なら絶対に大丈夫です」<木曜日の相談室 vol.8>

目まぐるしく変化する毎日、慌ただしく駆け抜けた今週もあと少し。そんな木曜日の1日に、ほんの少しだけ気持ちが軽くなれるお部屋、「木曜日の相談室」

ゲストは前回に続き、プロゲーマーとして活躍するときどさん。今回は「今、チャレンジしたいこと」をテーマに相談を募集し、ときどさんにお話をお聞きしました。

繝槭う繝翫ヲ繧呻シ上→縺阪→繧吶&繧・_DSC1947

ときど(ロートZ!所属プロゲーマー)
1985年沖縄生まれ。東京大学卒業。小学生の頃から格闘ゲームを始め、学生時代から数多くの大会で好成績を収める。2010年にプロゲーマーとしての活動を開始。2017年には世界最大の格闘ゲーム大会「Evo2017」で優勝。第49回ベストドレッサー賞(2020年スポーツ部門)や、世界が尊敬する日本人100人(2021年NewsWeek誌)にも選出された。

ときどさんに聞いてもらいたい、「今、チャレンジしたいこと」

ペンネーム:アネモネさん(30代)
習い事教室でインストラクター兼運営をしています。もともとこの仕事がとても好きで、その甲斐もあってか、今秋から中間管理職に昇格しました。そこでわたしが今チャレンジしたいことは、「新しい立場で結果を出せる社員となる」ことです。
立場が上がり、上司からは「上はとにかく結果を出すこと」と指導を受けています。自分が背中を見せて引っ張っていける存在でなければいけないと感じる反面、まだ自身は成績が芳しくなかったり、思うような結果を出せていません。
その状態で中間管理職の立場を任されていいのだろうかと不安も募ります。結果ばかりを追い求めるのは良くないとも感じているのですが、会社から求められるものなので、どうしても気にしています。
ときどさんが同じ立場なら、どのような思考やメンタルで臨みますか? また、プロゲーマーとして結果を出さなければならないとき、どのようにして向き合われているかお伺いしたいです。

仕事が“好き”なら、結果はいずれついてくる

繝槭う繝翫ヲ繧呻シ上→縺阪→繧吶&繧・_DSC6278

結論から言うと、アネモネさんは大丈夫だと思います。僕がそう感じたのは、アネモネさんは仕事が“好き”な人だからです。

仕事というのは、好きでやっている人もいれば、そうでない人もいます。僕は、プロゲーマーのなかでもゲームが好きなほうだという自負がありますが、“好き”というモチベーションで仕事に取り組むことは、ものすごいアドバンテージになるんですよね。

僕はゲームが好きなので、自然とゲームについて考えている時間も長くなります。常にゲームを最優先に考えているからすごく頭を使っている自信があるし、日頃から情報収集も欠かしません。その積み重ねが重要なんです。

アネモネさんはまだ中間管理職になったばかり。最初からは結果を出すなんて、誰だって難しいはずです。だから、短期的ではなく、長期的な視点で考えたほうがいいと思いますよ。仕事が好きなら、いつか結果はついてきます。中間管理職に抜擢されているということは、それだけ優秀で、会社からも頼られているという証拠ですから。

「結果を出せなかった期間」を克服した方法

繝槭う繝翫ヲ繧呻シ上→縺阪→繧吶&繧・_DSC6216

「ときどさんが同じ立場なら、どのような思考やメンタルで臨みますか? プロゲーマーとして結果を出さなければならないとき、どのようにして向き合われているか」ということですが、僕も試合で結果が出せない時期がありました。

どう克服したかというと、プレイスタイルをガラッと変えてみたんです。当然、最初は結果もついてきません。でも、自分としてはゲームが上手くなっている自覚がありました。結果にはなかなか反映されなかったけど、「このまま頑張ればいつかいける」という手応えを感じていたんです。

だからアネモネさんも、長期的な視点で考えましょう。結果が出なくても、自分なりに手応えを感じていれば、焦ることはありません。新しい立ち位置になって、学ばなければいけないことも多いと思います。でも、学んだことをひとつひとつ知識として吸収できれば、きっと結果はついてくるでしょう

格闘ゲームの世界では「努力は2年後に成果として現れる」と言われているんです。半分冗談めいた格言ですけど、実際、かつて負けた対戦相手に、2年後になってやっとリベンジできるということは結構あることなんです。

“結果”のかたちは決してひとつじゃない。

アネモネさんは「結果ばかりを追い求めるのは良くない」と感じているようですが、“結果”にもいろいろな考え方がありますよね。プロゲーマーの場合はやはり勝負ごとなので、勝ち負けの“結果”が一番優先度は高いと思います。でも、決して勝敗だけがすべてではありません。

例えば、eスポーツのイメージアップも僕たちの大切な仕事で、勝ち負け以上に「いい試合をしたかどうか」が評価されることもあります。もともとゲームはエンターテイメントですから、試合が盛り上がらないと何も始まりません。勝敗は確かに最優先ですけど、他にも大事なことはたくさんあるんです

僕は今、チーム戦に取り組んでいる最中ですが、そこでは何よりチームとしての成績が重要なので、自分だけが結果を出していても意味がありません。だから今は、チームメイトと密な連携を取りながら、「みんなで強くなって、一緒に勝利を目指そう」という方向で頑張っています。

会社からどんな“結果”を求められているかわかりませんが、“結果”にもいろんなかたちがあるだろうし、アネモネさんも別のカタチの“結果”を出しているかもしれませんよね。また、アネモネさんの“仕事が好き”という思いを職場の仲間に共有できれば、それがチームとして“結果”を出すことにもつながるんじゃないかな、って思います。

大切なのは“変化”に対応する力。仕事が好きならきっと大丈夫!

繝槭う繝翫ヲ繧呻シ上→縺阪→繧吶&繧・_DSC6181

僕の最大のチャレンジは、ゲームの世界に飛び込んだことでした。今後のチャレンジは、「プロゲーマーとしてどこまでやっていけるのか」ということだと思います。

これからは年齢による変化もあると思いますし、すでに反射神経の劣化なんかは始まっているかもしれません。でも、若くて反射神経があるほうが強いかといえば、そう単純な話でもないんです。

強い対戦相手と戦うときはすごい緊張状態になるし、試合中の鍔迫り合いでは、一瞬のミスが命取りになります。そんな極限の状態でも自分らしいプレイをするには、メンタルの強さが問われます。メンタルは経験で鍛えられますから、単純に若さがアドバンテージになるわけでもありません。反射神経は、あくまで勝つための要素のひとつに過ぎないんですね。

対戦相手についてリサーチする能力や、作戦を立てる力も大切です。加齢による衰えは、そういう部分でカバーできるはずなんです。実際、僕は今が一番強いと思いますよ。反射神経が衰えていても、トータルで自分史上最も強いのは今日の自分です。そしてこれからも勝ち続けるために、僕は常に変化に対応していきたいと思います。

アネモネさんも本当に仕事が“好き”なら、いつかその環境の変化に適応できると思います。コンスタントに結果を出さないといけないという制約があるから大変だと思いますが、アネモネさん個人は日々成長しているはずです。

その成長を拠り所にして頑張っていれば、いつか必ず“結果”もついてくると思いますよ。

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!