「子育て中のストレスとどう付き合えばいい?」「新しい友達の作り方は?」髭男爵の山田ルイ53世さんが独自の視点でお悩みに回答!<木曜日の相談室 vol.36>
目まぐるしく変化する毎日、慌ただしく駆け抜けた今週もあと少し。そんな木曜日の1日に、ほんの少しだけ気持ちが軽くなれるお部屋、「木曜日の相談室」。
今回のゲストは、お笑い芸人・髭男爵のツッコミ担当、山田ルイ53世さん。「いま、私が相談したいこと」をテーマに相談を募集し、山田さんに話をお聞きしました。
山田ルイ53世さん プロフィール
相談①「もうすぐ1歳の娘の育児でイライラしてしまいます。みんなこんな感じですか?」
“ため息は心の換気”。 深くため息をつき、心の空気を入れ替えていきましょう
9ヶ月の娘さんがいらっしゃるというぴちこさん。
イヤイヤ期が始まった頃の大変さ、子育て中のイライラ、目に浮かびます。
といっても、僕の場合お世辞にも、「家事や子育ては、夫婦で半分ずつ、ちゃんと分担してきました!」なんて胸を張って言えませんが、それでも、特に一人目の娘のときは、本当に大変だったのを覚えています。
我が家の2人の娘は、長女が12歳で小学6年生、次女が5歳で幼稚園の年中さんです。
例えば、おしめの交換一つとっても、クネクネフニャフニャした柔らかすぎる赤ちゃんの体に四苦八苦。
持ったり支えたりする場所を間違えると、
「折れてしまうのではないか?」「ちぎれてしまうのでは?」
という緊張感から、コチラの動作もぎこちなくなり、普段使わない筋肉に力が入り全身汗だくになりました。
“子育て筋”とでも呼べば良いのでしょうか、とにかく、生涯で初めて使う、育児のための筋肉を鍛えているような感覚。
ぴちこさんもこの9ヶ月間、さぞかし子育て筋を酷使してきたことでしょう。一方で世間には、この種の、「育児の愚痴」は言いづらい、言ってはいけない空気がまだまだ漂っている。
イライラが溜まるのは当然です。
そういう時は、積極的に「はあ〜〜〜〜」と、深く深くため息をつきましょう。
あまり良い印象を持たれない「溜め息」ですが、僕はむしろ積極的に溜め息は吐いていくべきだと思っています。
溜め息は心の換気。
部屋の空気の入れ替えを怠れば、風邪を引いたり、ストレスがたまったり・・・・・・ろくなことはありません。
子育てでイライラしたら、旦那さんに当たってもいい
イライラして物や旦那さんに当たってしまう。
ぴちこさんの暴れっぷりの程度は僕には知るよしもありませんが、現時点でそれが許されている状況なら、後ろめたく感じる必要はあまりないかとも思います。
「もう子供がいるんだから!」
「親になったんだから、しっかりしないとね!」
など等と、親になると周囲も、そして自分自身もやたらハードルを上げがちです。
大袈裟に言えば「聖人君子のように完璧でなければならない」という圧を感じたり、子育てに高い理想を掲げたりしてしまいがちですが、「今まで親ではなかった」のですから、できないことやうまくいかないことがあって当然です。
むしろ、「旦那さんにさえ当たれないとなれば、そのイライラをどこに逃がすねん!」と、僕は思うわけです。
まずは、普段から旦那さんと話して、ぴちこさんの状況を理解してもらう。
「私はイライラしたときに当たり散らかすかもしれませんが、こういう状況ですからあまり気にしないで」と常日頃から伝えておく。
あとは、気分が落ち着いたタイミングで、旦那さんに、「さっきは散々怒ったけど、本当はそこまで思ってないよ」と一言添えておけば十分ではないでしょうか。
何より、一人で全部やろうとしない。
自分がやらなきゃ、やるべきだなどと無為に抱え込まず、旦那さんにもおおいに活躍していただきましょう。
つまるところ、みんなそんなもんです
僕も奥さんに当たられたことは数知れず。うちの奥さんの場合は、一回怒ると黙り込むんですよ。もう、敵に捕まっても絶対に秘密を漏らさないCIAのスパイ顔負けに(笑)。
そこに対抗して僕が不機嫌になったとて、空気が悪くなるだけなので、だいたいコチラから折れるように心がけています。
「ごめんごめん、俺が悪かったね」という姿勢を見せる。それも長引かせず、1時間以内には謝るのが大事です。
昔、ファミコンの高橋名人が「ゲームは1日1時間」と推奨していましたが、夫婦喧嘩においても1時間は分水嶺でしょう。お互いにムスっとしたままの時間が長引くほどにその喧嘩が深刻化するので注意してください。
繰り返しますが、ぴちこさんの相談に端的に答えるとしたら、「みんなそんなもんです」の一言なんです。「完璧な子育て」など幻想・・・・・・そもそも「出来る」と思わないのが大事です。
相談②「どうしたら会社以外のコミュニティで新しい友達ができますか?」
「友達や人間関係を大事にしなきゃ」という思い込み
このお悩みに関しては、「なぜ友達が欲しいのか」ってところから気になりますね。もしKさんが、「私は会社の人しか知り合いがいない。もっと友達を作ってイキイキとした人生を送らなきゃ」みたいな考えでこの悩みに至ったのだとしたら、そんなふうに思う必要はないと思いますね。
子供の頃は、「ともだちひゃくにんできるかな~♪」などと、のんきに歌っていましたが、今思えば、友人が100人もいたら結構しんどいんじゃないでしょうか。
あるいは、それは友達というか、「知人」では?とも思う。
僕も若い頃は「人間関係が多い方が豊かな人生、そうなるべきだ」と盲目的に考えていましたが、なかなかうまくやれない、というか、
「人付き合いって、しんどいな・・・・・・」
と大人になって思うようになりました。
いえ、仕事中などはむしろ、
「この人って気さくだなー・・・・・・」
と思っていただけるくらいの振る舞いが出来る、というか出来てしまう。
お陰で、現場終わりに、
「男爵!このあとどう?ご飯いかない?」
と誘っていただくことも珍しくありませんでした。
ただ引きこもっていたことが影響しているのか、本質的に人付き合いが向いてないタイプなのかはわかりませんが、プライベートでとなると、突如としてしんどさが勝つ。
もうすぐ50歳を迎える今では、「友達が欲しい」とはあまり思わなくなりました。趣味もなければハマっていることも一切なく、休日の過ごし方といえば家でちびちび酒を飲むくらい。それでも特に不都合を感じていません。僕のテーマは、毎日できるだけ平熱で、“しょうもなく”生きることなんです。
だから、Kさんが人の輪の中で楽しむのが好きなタイプなら結構なのですが、そうじゃないなら、無理して人と交流しないのも一つの選択肢だと伝えたいです。
大人になってからの友達作りは、足湯程度の人間関係から始めよう
その上で友達作りについてアドバイスをするとすれば、漠然と友達が欲しいと思うのではなく、“やりたいこと”を見つけることが先ではないでしょうか? フットサルでも将棋でも何でもいいのですが、何を一緒に楽しめる人が欲しいのかを具体的に掘り下げることで、友達作りの目的が明確になります。
ただし、大人になってからの新しい人間関係は、あまり多くを求めすぎないのがベターです。
「お互いを理解し合える友達がほしい」と理想を掲げても、実際に人との距離が近くなると相手の嫌な部分や自分の価値観と相いれないところにも気が付くでしょ。だから、どっぷり肩まで湯に浸かったような濃い関係を目指すのではなく、足湯程度の気軽な関係で満足するにも一つの手です。
最後にもう一度。
Kさんには、友達がいないことを恐れないでほしいです。今からできる友達は、どのみち足湯程度の友達ですから。まずはやりたいことを見つけ、それを始めてみてください。