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コロナ禍でエッセンシャルワーカーのイメージはどう変化したのか?社会貢献性と働く環境のギャップについてマイナビ研究員が考える

「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる職業をご存知でしょうか。

社会や人々の生活に欠かせない仕事に就いている人を指し、医療・福祉、物流、教育・保育、小売、インフラに従事する人などが代表的です。私たちの暮らしを支え、コロナ禍で重要性が再認識されたエッセンシャルワーカーですが、人手不足を嘆く声が聞こえてきます。

「社会に必要とされる仕事なのに、なぜ採用につながらないのか」。マイナビで研究員をしている長谷川さんは疑問に思い、学生を対象に、仕事に対するイメージや志望度などを調査しました。

結果8割もの学生が「社会貢献性が高い」とポジティブなイメージを持っていることがわかった一方、志望度はそれに相反する結果に…。

エッセンシャルワーカーが多くの人から志望されるになるにはどうしたらよいのか、長谷川さんにお話を聞きました。


【プロフィール】
社長室 キャリアリサーチラボ研究員

長谷川 洋介(はせがわ・ようすけ)
2017年に株式会社マイナビに中途入社。約3年間、転職情報事業本部にて、転職情報サイト『マイナビ転職』の求人広告や各種制作物の制作に携わる。社内異動を希望し2021年4月に、新卒領域の調査を行うHRリサーチ1部に異動。研究員として、主に就職活動中の学生を対象にした定例調査を担当し、就職活動の進捗や実態、心境といった就活に臨む学生の現状把握に取り組んでいる。

研究員をめざすきっかけはコロナ禍で気付いた「データ」の重要性

私の主な調査領域は新卒の就職活動で、学生を対象にしたリサーチを担当しています。

就活生の内定状況や就職活動の進捗などに加え、学生が「日々感じていること」を聞き取り、現在の傾向などを探ることがミッション。部内の議論を通して、学生の現状を把握するための調査設問案の検討を行い、アンケート画面の作成、学生への配信、集計・レポート化など、調査の上流から下流まで一貫して携わっています。
 
研究員を志したきっかけは、コロナ禍。

当時は『マイナビ転職』に掲載する求人広告の制作を担当していました。そこでクライアントから、「社会全体の動きも分からなければ採用市場がどのように動いているのかも分からないし、先も想像できない」という声をお聞きしたんです。マイナビの担当として、採用動向を把握してきちんと説明できないといけないと思い、HR領域を含め様々な情報収集を行っていました。
そこで気付いたのが、調査結果やデータは、市場の現状を理解し判断するための指針になるということ。コロナ禍で先行きが見えないからこそ、客観的な情報が重要だと実感しました。

マイナビには、HRリサーチ統括部というHR領域に関する調査を行う部門があり、独自の調査データやニュースをまとめて社内外へ発信しています。日々そうした情報に触れるうちに、自分も調査やデータを扱う仕事を通じて、社会にとって有意義な情報を発信したいと思い、HRリサーチ統括部の研究員を志しました。

その後、社内異動を経て現在の部署に配属となりました。統計知識や集計作業など覚えることもたくさんありましたが、充実した毎日を送っています。


エッセンシャルワーカーの採用課題。採用が難しいのはなぜか。

エッセンシャルワーカーの働き方については、以前から興味を持っていました。

エッセンシャルワーカーとは「エッセンシャル(Essential=必要不可欠)」と「ワーカー(Worker=労働者)」を組み合わせた複合語で、人々が生活を営むうえで欠かすことのできない仕事に就いている人を指します。代表的なものとして医療・福祉、物流、教育・保育、小売、インフラに従事する人などが該当します。

日本では2020年に新型コロナウイルスの感染が広まるとともに、これらの職種や仕事に就く人々の重要性が再認識され、言葉が広く認知されるようになりました。

しかし、そんな大切な仕事であるにも関わらず、採用に苦労する法人が多い。当時私が担当していた企業もとても悩んでいました。

「社会に必要とされる仕事なのに、なぜ採用につながらないのか」ということを明らかにしたいと思ったんです。現部署に異動してからもずっと関心をもっていて、今回、大学生を対象にエッセンシャルワーカーのイメージ調査を行い、研究レポートとしてまとめるに至りました。


大学生が抱くエッセンシャルワーカーのイメージ

ここで簡単に、研究レポートの概要についてお話します。

調査の結果、エッセンシャルワーカーについて、「社会を支えるためになくてはならない仕事に従事し、社会貢献性が高い」というイメージを持つ学生が約8割いることが分かりました。仕事の負担や人手不足を心配する声も見られますが、エッセンシャルワーカーの持つ社会貢献度の高さを評価している学生が多い、ということです。

コロナ禍でのイメージの変化についても聞きました。

学生はもともとエッセンシャルワーカーに対し良いイメージを持っていますが、約4割の学生がコロナ禍を通してさらに良い印象を受けていることが分かります。

新型コロナウイルスの感染拡大というひとつのできごとをきっかけに、エッセンシャルワーカーの仕事の大切さを学生たちが目の当たりにしたためではないかと推測しています。

エッセンシャルワーカーへのイメージと就労希望実態とのギャップを解消するために

約8割の学生が良いイメージを持っているにも関わらず、就職活動でエッセンシャルワーカーを志望している学生は8.8%と少ない状況であることが分かりました。

 
 志望しない理由としては「身体的に負担が多い仕事」「休みがとりづらく大変そう」「心理的に負担が多い仕事」「給料など待遇が良くない」といった回答が多く、就労環境へのネガティブなイメージがあるようです。

一方で、「エッセンシャルワーカーの待遇が向上した場合、就職先として志望度は上がる」という学生は約6割。


また、改善されたら志望度が上がるポイントとして、「労働時間やワークライフバランス」「給与条件や雇用形態」を挙げる学生が多いことから、業務内容や就労環境、待遇面の不安を解消することが、学生から選ばれる仕事になるための重要なポイントになると思います。実際に、行政による支援制度があったり、運送業界や建設業界などでは採用広報で様々な工夫をしているようです。こちらもレポートに書いていますのでぜひご覧になってみてください。

安心して働ける環境であることは仕事選びにおいて重要で(※)、これはSDGsで掲げられている「ディーセントワークの推進」にもつながることです。多くの学生が「社会貢献性」という点でエッセンシャルワーカーを非常に高く評価していますが、このような仕事へのやりがい・働きがいにつながる観点に加えて、働くうえでの安心感を与えていくことが求められます。

では、エッセンシャルワーカーが「安心して働くことができる」と感じるためには、どのようなことが必要なのでしょうか。

まずは、実態の把握・整理が重要です。エッセンシャルワーカーを採用するにあたって、「本当は良い就労条件・環境なのに、それが伝わっていないのか」「そもそも、まだ働く環境が整っていてないのか」といった実態を知ることが第一です。

それによって、採用活動における「ポジティブなイメージの発信」が必要なのか、あるいは「就労環境そのものの改善」が必要なのかなど、ケースごとに取り組みが変わってきます。

このように実態を把握したうえで、施策を考え実行することは、将来エッセンシャルワーカーとして働きたいと考える人を増やすことだけでなく、今現在エッセンシャルワーカーとして働いている人たちの環境をより向上させて行くという意味でも重要だと思っています。

※マイナビ 2023年卒 大学生 活動実態調査 (3月)


エッセンシャルワーカーのこれからと、研究員として目指したいこと

特に医療や介護・福祉の領域に関しては、元々が人手不足の業界であり、就労環境の改善が難しいケースがあることも想定されます。そうしたなか、昨今では医療ロボット・介護ロボットなどを導入し、職場における業務を一部代替させる動きなども見られます。

テクノロジーの助けを借りることができれば、いま実際に働く人たちの業務負担を改善することができるのではないかと思いますし、ロボットに代替できない業務にリソースを充当することで、就労環境の向上だけでなくサービスの向上にもつながり、業界や職種全体が活発化していくような未来が訪れる可能性もあります。

今回調査したのは、学生から見たエッセンシャルワーカーのイメージでしたが、もう一つ、今現在、実際にエッセンシャルワーカーとして働いている人たちの目線(実態)も重要だと考えています。

今後は自社調査や公的統計等を活用し、エッセンシャルワーカーとして働いている人たちからの視点をさらに深掘りし、就労環境のイメージと実態について明らかにしていきたいと思っています。

そこから見える分析をもとに、エッセンシャルワーカーとして働きたいと思う人、エッセンシャルワーカーとして働く人にとって意義のある情報発信に努めたいと思っています。


研究レポートはこちらからご覧いただけます

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