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ただ雇うだけではなく、目標・責任をもって業務に向き合う、マイナビの障がい者雇用。社員向けマッサージルームで勤務する施術師の仕事への向き合い方とは?

「配慮はするが遠慮はしない」。
 
これはマイナビグループの障がい者雇用の方針です。
マイナビには、「マイナビパートナーズ」という特例子会社があり、マイナビグループ全体の障がい者雇用を促進しています。
 
企業には、社員数の一定割合、障がい者を雇用しなければならないという「法定雇用率」がありますが、マイナビの中での障がい者社員の立ち位置は「該当人数を雇用できればいい」というものではありません。障がいの有無に関わらず、どの社員も自分の業務に責任をもって働き、自分の仕事やキャリア、職場環境を発展させるためのチャレンジを求められています。
 
今回ご紹介するのは、マイナビグループの社員がマッサージを受けることができる福利厚生施設「マイケアルーム」で働く牧です。
マイケアルームは視覚障がいがある施術師を中心に運営されており、全国3支社に拠点を置いています。
「医療従事者としての責任」という言葉を繰り返し使っていた牧の、仕事への向き合い方を聞きました。


【プロフィール】

牧 和則(まき かずのり)
株式会社マイナビパートナーズ パートナー雇用開発事業本部 パートナー雇用開発事業部 パートナー雇用開発2部 ヘルスケアサポート課
あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師
2023年2月にマイナビパートナーズに中途入社し現職。よくご要望を頂くマッサージ第1位はドライヘッドマッサージ。

 地方自治体の職員から、マッサージ師へのキャリアチェンジ。きっかけは「将来への危機感」

 
私には先天性の視覚障がいがあります。

両目ともに0.02程度の視力ですが裸眼のまま生活しています。コンタクトや眼鏡をつけて生活している人は裸眼だと見えにくくなりますが、私はその状態で生活しています。
ですので、日常生活では値札や駅の時刻表などの文字が見えづらいことがあり、スマホのカメラ機能のズームを使うなど工夫を重ねています。

高校を卒業して、まずは千葉県内の自治体に勤務していました。
自治体では13年間勤務し、住民窓口業務やPCの入力、資料作成などのデスクワークをしていて、行政を通じてとても濃い経験をさせていただきました。

その後、3年休職をして国家資格を取得するため、あん摩マッサージ指圧・鍼・灸(はり・きゅう)の専門学校に通いました。

専門学校へ通い始めたのは、今後はテクノロジーが発達してAIの利用が当たり前になるということを知り、もしこれ以上視力が低下したときに「自分には何の仕事ができるんだろうか?」と考えたからです。

高校生の時から医療・福祉系の仕事にも興味がありましたし、地方自治体での業務を通して「地域に貢献したい」という思いも抱いたので、挑戦してみようと行動に移しました。

専門学校卒業後は、1年弱ほど整骨院で鍼灸師として勤務していました。

施術師になったのは「自分の障がいを受け入れるため」でもあった

 
私は今まで、視覚障がいをもって生活していることが、ある種「自分にとっての当たり前」でした。仕事でもデスクワークができていたし、健常者に近い生活ができていると思っていました。でも、同じ視覚障がいでも「自分の生活と、他の視覚障がい者の生活はどのような違いがあるのだろう」と疑問に思いました。

そこで、マイナビのマイケアルームは視覚障がいがある人が中心となって運営されていると知って、「同じ視覚障がいがある人の普通」を知れるかもしれないと思いました。

また、従業員に対しての健康管理を行う職業は、今後需要が高まるだろうとも思いましたし、良い仕事だと感じ応募しました。

今考えると私にとってマイナビパートナーズへの入社は、自分の障がいを受け入れる意味合いが強かったかもしれません。


マイケアルームでは1日の上限の6枠中、毎日5人~6人の利用者の施術をしています。

私は、利用者の不調の原因の大半は、座りっぱなしの業務や正しくない姿勢など、日常生活の中に潜んでいると伝えています。状況に応じて改善策を提案することもあるのですが、次回お越しいただいたときに変化が表れていると聞くと嬉しく思いますし、医療従事者としての責任を果たせているのかなと実感しています。

 マイケアルームで働いてみて、新たな発見がたくさんあります。

今まで自分では気づかなかった、気にしていなかったことでも、見え方が違う人と一緒に働くと、配慮をすることの大切さに気づきます。

例えば、すれ違う時には声をかけて道を譲る、つまずかないように床には何も置かない、など。私は使っていなかったのですが、視覚障がい者が使う「PC読み上げソフト」で事務作業が円滑になることも知りました。
こういった発見が、全員が働きやすい職場づくりのアイデアにつながります。

施術以外の業務はカルテ記入、利用費用の精算(マイケアルームの利用費は給与天引き)、職場環境の整備など。マイケアルームには晴眼(視覚障がいがない)のスタッフもいるので、タオルの小さなシワを見つけてくれたり、着替えのストックを確認してくれたり、気づかなかった落とし物を教えてくれたり、私たちだけでは目が行き届かないところはフォローしてもらっています。

利用者がいてこそのわたし。目の前のできることを一つずつ。

 
私は視力が低い分、聴覚や触覚の感度が人より高いと思っていますが、利用してくれる方との会話では様々なことを意識しています。何気ない会話の中から、体の不調の原因を発見して改善のために提案できることがないか探しながら質問を投げかけています。

また、地方自治体でデスクワークをしていたときや、学生の時は陸上をやっていたときに、マッサージに通うお客さんの立場も経験しています。その時の経験を思い出しながら、自分がやってほしいと思うことを提供できるように普段から心がけています。

記憶力もいい方だと思っていて、利用者の予約名を見るだけで「あ、あの人かな。お体の調子はよくなったかな」と思い浮かびます。

マイケアルームの施術師には、利用人数や時間の長さ、つまり「売り上げの目標」があり、高いレベルを目指しています。でも売り上げの数字だけを追っていては大切なものを見失う気がしていて、私は別の目標も意識するようにしています。

職場がもっと良くなるために、利用者にとってもっと快適なマイケアルームになるために、「今週は何ができるだろう」「今月は何ができるだろう」と細分化して目標を立てています。
利用してくれる方がきてくださってこその仕事だということは忘れないようにしています。

 今は東京と大阪に3拠点あるマイケアルームですが、将来的には全国・全支社に広がればうれしいです。今でも違う支社からマッサージ利用に来てくれる社員もいますが、もっと拠点が広がれば提供できることも増えるのかなと考えています。

拠点が増えれば当然スタッフも必要なので、新たな障がい者雇用にもつながるし、「社員向けマッサージルームがある」ということがマイナビに入社するきっかけにならないかな?!とも思ったりして……。
 

大きな目標かもしれませんが、近い目標を一つずつクリアして、叶えていきたいです。


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