慣れ親しんだ土地で、地域に貢献したい。ちょうなん西小カフェの経営を受け継いだご夫妻の想い。
今年5月、マイナビ不動産は『地域創生×独立支援』の取り組みとして、廃校をリノベーションした団体宿泊施設ちょうなん西小に併設している “ちょうなん西小カフェ” の経営を地域在住の長沼ご夫妻へ委任しました。
地域活性化を目的に、古民家や廃校などの地域の資産をリノベーションして新たな価値を提供する地域創生ビジネス。都市部の一極集中や空き家問題なども課題とされる昨今、古民家や空き公共施設の活用が注目されています。
これまではマイナビ不動産の直営でカフェを経営しておりましたが、どのようなきっかけで経営委任することになったのでしょうか。これまでの取り組みとこれからのことについて、マイナビ不動産の三上奈々穂さんと長沼ご夫妻にそれぞれの想いをお聞きしました。
※マイナビ不動産の地域創生事業は2024年10月1日より株式会社マイナビに承継し、それ以降、ちょうなん西小はマイナビの新設事業部にて運営予定です。ちょうなん西小カフェは、引き続き長沼さんご夫婦に経営を委任いたします。
【プロフィール】
■長沼ご夫妻(結子さん信啓さん)
市原市出身、17歳、15歳、14歳、11歳、9歳の5人の子供を育てながら、ちょうなん西小カフェを経営中
■マイナビ不動産 三上奈々穂さん
栃木県出身、大学時代に地域創生について学び、2020年、旧マイナビ地域創生に新卒入社
ちょうなん西小の再出発。慣れ親しんだ土地で、地域に貢献したい、そして大好きな「ちょうなん西小」の魅力を伝えたい
ーまず、ちょうなん西小とはどのようなところでしょうか?
三上奈々穂さん(以下、三上さん):廃校になった小学校を「地域活性化の拠点として生まれ変わらせたい」という想いから、2018年に団体向け宿泊施設「ちょうなん西小」としてオープンして6年が経ちました。120年以上の歴史をもつ小学校を活用し、廃校をリノベーション。カフェ・キッズルーム・図書室など施設内の一部を地域住民の憩いの場として開放し、地域のコミュニティの場としても利用されています。「ちょうなん西小カフェ」は宿泊施設に併設していて、長沼さんはオープン当時からカフェのスタッフとして働いてくださっていました。カフェを良くしようと日頃からたくさんアイデアを出してくださっていて、そんな長沼さんにいっそのこと経営を任せてみようとなり、打診させていただきました!
長沼結子さん(以下、結子さん):もともと子供たちが近くの学校に通っていて、バイト募集のチラシを配っていたのがきっかけでカフェで働き始めました。慣れ親しんだ土地で、地域に貢献したい、そして大好きな「ちょうなん西小」の魅力を多くの皆さんに知ってもらいたいという思いもあったので、ぜひというお返事をしました。夫ともそろそろ新しいことに挑戦したいよねと話していたこともあり、お受けすることになりました。
長沼信啓さん(以下、信啓さん):以前は飲食の仕事をしており、直近までは会社員として働いていました。お話をいただいたとき最初は不安もありましたが、夫婦で良く話し合い、2人ならできるという結論にたどり着いたので、会社を辞めてカフェに集中することにしました。
地域の方がふらっときて、夏野菜を置いていってくれたり、応援してくれる人が増えた
ー“ちょうなん西小”カフェについて教えてください。
三上さん:“ちょうなん西小カフェ”はもともと職員室だった場所をリノベーションしていて、宿泊客だけでなく一般のお客様も気軽に利用できる空間として地域の方の憩いの場として親しまれています。
結子さん:カフェメニューには長南町の食材を使用していて、おすすめは、長南町特産のレンコンを使用した「ちょうなんプレート」です。旧西小(廃校になる前の略称)卒業生スタッフの「給食で大好きだった❝長南丼❞をまた食べたい」という言葉がきっかけで開発されたメニューです。千葉丼コンテストという大会の学校給食部門で最優秀賞を受賞した「長南丼」のレシピを活用し、カフェのおしゃれな雰囲気に合わせてアレンジしました。
ー実際に経営をするにあたって、どのような変化がありましたか?
三上さん:長沼さんご夫妻には5月からカフェの経営と宿泊施設の給食スタイルの食事提供を担当していただいていますが、トラブルもなく、順調に進んでいます。またお客さんからの提供時間やメニューに関する要望にも柔軟に対応してくださっています。また、地元のイベントでのお弁当提供や宴会の予約なども積極的に受けてくださり地域の顔としてカフェを経営してくださっています。それがちょうなん西小の良いイメージにも繋がっているのでとてもありがたいなと感じています。
結子さん:カフェでは私が接客担当で、夫が調理担当です。当初に比べ細かな要望に応えられるようになったことが一番の変化だと思います。最近では地域の方がふらっときて、夏野菜を置いていってくれたり、応援してくれる人が徐々に増えていると感じます。
長南町は何にもないけど、何でもある、豊かな町
ー仕事のやりがいを教えてください。
信啓さん:給食スタイルの食事提供が初めてだったので、最初は大変でしたが、協力し合いながら今では順調にできています。夫婦として働くことのやりやすさは感じますね。意見がぶつかることもありますが(笑)、お互いにフォローしながら、同じ方向を向いて上手くやれてるかなと思います。また前職だと出張などで子供との時間がなかなか取れなかったんですが、家族でいる時間が増えて、コミュニケーションがたくさん取れるようになったのは良かったです。
結子さん:お客さんの要望に柔軟に対応できるようになり、喜んでもらえるようになったことや、時間の使い方が柔軟になったこと、家族との時間が増えたことが何よりも嬉しいなと思います。ちょうなん西小にはキッズルームがあり、子供たちもちょうなん西小にいることが多いんです。子どもたちはちょうなん西小が大好きなので、仕事で疲れることがあっても、子供たちをそばで見ていられることは幸せだなと思います。
ーモチベーションや原動力は何ですか?
結子さん:何をどうやって、誰と食べるか、子供たちに良い環境を用意することがモチベーションになっています。例えば試作した料理をお弁当に入れてみようとか、子供と一緒に料理を作ったりもします。1人で食べるより家族と一緒に「今日こんなことがあったよ」という些細なことを言い合う時間が何より幸せだと感じます。
地域と共に成長するカフェの未来
ー今後やっていきたいことはありますか?
信啓さん:まずは給食スタイルの食事提供をさらに確立していきたいと思ってます。またテイクアウトや地域の方が喜んでもらえるような料理の提供も行っていきたいと考えています。
結子さん:ちょうなん西小は地域との連携がコンセプトなので、地域の人を招いたイベントなどを開催していけたらと思います。地域と連携するというコンセプトはぶらさずに、長南町を盛り上げるために何ができるのかを積極的に考えていきたいです。
ーちょうなん西小への想い
三上さん:私は休みの日もちょうなん西小に遊びに行くくらいここが大好きなので、地域の方々と交流したり、コミュニケーションを取れる場所をつくって、地域とのつながりをさらに深めていきたいです。ちょうなん西小発信で取り組んでいけたら、もっと地域に貢献できるんじゃないかと思います。
結子さん:ちょうなん西小に子どもたちを育ててもらっているなという気持ちです。長南町には何もないけど、何でもある豊かな町だと思います。季節の野菜がなって、お花が咲いて、「星空キレイだね」「蛍みたよ」と日常にある些細なことを大事に思える人が多いです。ないものねだりではなく、今あるものを大切にすることが生きていく力につながっていると感じます。