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謙虚が美徳とされる日本で、学生が自信を持って強みを話せるように。自己肯定感を「理想のキャリア」の礎にする『#IAmRemarkable(アイ アム リマーカブル)』の取り組みとは?

突然ですが皆さんは、自分自身の実績や能力、長所を自信を持って人前で語ることができますか?
「自分には誇れるような実績や能力なんてない」「人前で語るのは恥ずかしい」という人が多いのではないでしょうか。

こうした状況を変えていくために始まったのが、グーグルの『#IAmRemarkable』という取り組みです。

『#IAmRemarkable』は、女性や過小評価されている人々が自身の実績や長所をオープンに語れるようになることを目指し、2016年からグーグルが行っているワークショップです。
世界 180 か国以上で開催され、これまで約 50 万人がワークショップに参加しています。

そして2021 年より、マイナビが運営する大学生向けWEBメディア『Career TANQ』(※)でも『#IAmRemarkable』を開催。学生を対象に、定期的に実施しています。

今回登場するのは、『Career TANQ』の運営を担当する戸田有紀(とだ・ゆき)さん。
そして、ワークショップにファシリテーターとして参加してくださったグーグル・クラウド・ジャパン合同会社の小澤真由子(おざわ・まゆこ)さん、グーグル合同会社の宗テンイ(そう・てんい)さんです。

なぜ『#IAmRemarkable』が世の中で必要とされるのでしょうか?そして、『 #IAmRemarkable 』をマイナビが学生に向けて行う意義や目的とは?
3人にお話を伺いました。


プロフィール

<写真左> 戸田有紀(とだ・ゆき)

株式会社マイナビ 就職情報事業本部 コミュニケーションデザイン企画1課 課長
2013 年、マイナビに新卒入社。就職情報事業本部にて営業職、制作職を経験したのち、現在は大学生向けWEBメディア『Career TANQ』の運営担当として、記事コンテンツやイベントの企画・ディレクションを行っている。

<写真右> 小澤真由子(おざわ・まゆこ)
グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 パートナー事業本部 パートナー ディベロップメントマネジャー 
2016 年、グーグル合同会社に入社。2019 年より グーグル・クラウド・ジャパン合同会社に異動し、現在はデータ分析領域のパートナー・ディベロップメント・マネジャーとして、パートナーとビジネス推進を行う。『#IAmRemarkable』の日本のコアチーム の一員として、クラウド部門領域のリードを担当。

<写真中央> 宗テンイ(そう・てんい)
グーグル・ジャパン合同会社 人事部 HRビジネスパートナー
2019年、グーグル合同会社に入社。人事部にてHR ビジネスパートナーを担当。『#IAmRemarkable』の日本のコアチームの一員として学生向けワークショップのリードを担当。


就活にとらわれず、キャリアのことを考えてもらいたい

戸田有紀(以下、戸田):『Career TANQ』は、2019 年12 月より本格スタートした大学生向けのWEBメディアで、低学年次からキャリアを考えてもらうことを目的とし、情報発信を行っています。

というのも、現状、学生がキャリアを意識し始めるのは、就活の入り口であるインターンシップが始まる大学 3 年生頃ですが、自分に合った理想のキャリアを明確にするには、本来、もっと長い時間が必要だと考えているからです。

自分自身と深く向き合い、興味関心や強みを洗い出すところからスタート。そして業界や仕事について知る中で、理想のキャリアが少しずつ明確になっていく――こうした過程を考えると、就活を意識しだしてからキャリアを考えるのでは、少し遅い気がします。

学生生活の早いうちから自分の興味関心や強みを発見し、磨くことで、本人にとって理想的なキャリアを見つけてもらいたい。
こうした目的のもとで『Career TANQ』は始まりましたが、現在では『マイナビSTART』や『My CareerStudy』など、低年次から将来について考えるきっかけとなるサイトも複数立ち上がり、いろいろな切り口から学生のキャリアを応援できるようになっています。

キャリアを考えるにあたり、就活における自己分析はよく知られた方法です。しかし私は、『Career TANQ』の運営にたずさわるなかで、「就活にとらわれないやり方で、自分が好きなことや得意なことを見つける方法があるといいな」という想いをもっていました。
グーグルの開催する『#IAmRemarkable』は、まさに考えていたものに近く、ぜひ学生にその機会を提供したいと思ったんです。

小澤真由子(以下、小澤):私たちの出会いのきっかけは、2019年7月に戸田さんと同じチームの方がグーグル主催のイベントで『#IAmRemarkable』のワークショップに参加してくださったことでした。その後、「ぜひ学生向けにもワークショップを行いたい」とご連絡いただいたんです。


誰でもオープンに自分の実績を語れるように――『 #IAmRemarkable 』に込められた想い


小澤:『#IAmRemarkable』は2016年にグーグルで始まった取り組みで、女性が自身の実績を率直に語ることに対してハードルを感じていると気づいた2人のアナという女性が、女性社員向けにワークショップを実施したのが始まりです。

グーグルには多様な社員がいて女性が働きやすい企業だと思われていますし、実際にそうだと思います。しかし、そういった環境下でも女性たちは自分の強みや実績をまわりに話すことにハードルを感じていたのです。

この要因は、ジェンダーや社会的に期待される役割、インポスター症候群と呼ばれる、「自身の実績やスキルが自分の能力によるものではない」と否定してしまう傾向など、さまざまです。

宗テンイ(以下、宗):その後、こうした問題を抱えているのは女性にとどまらず、人種やセクシュアリティ、ハンディキャップなどを抱えたマイノリティ全般に及ぶということが分かってきました。『#IAmRemarkable』は、このことに悩む人であれば、誰にとっても必要なもの。なので今は、性別などに関わらず誰でも受けられるワークショップとして運営しています。


自分の強みを自分で決める過程が、自己肯定感を生む

戸田:「『#IAmRemarkable』を絶対に学生向けにやりたい!」と思った理由のひとつが、日本の価値観と就活で求められることの矛盾です。

日本では、謙虚でいることが美徳とされる傾向にあり、自分の長所や実績を人前で語ることは慎むべき、という価値観が根強いですよね。
しかし就活では真逆です。自分の強みを自信を持ってアピールしなければなりません。

一方で、こうした日本の価値観で生きてきた私たちは、就活時期を迎えるまで自分の強みについてアピールするどころか、きちんと考えたことすらほとんどありません。
結局、自分の本当の強みが分からないまま、応募する企業に“好かれそうな”自己アピールをすることになってしまいがちです。

こうした方法で仮に入社が決まったとしても、それは本当に学生と企業がマッチしているとは言えませんよね。
お互いを理解した状態で入社が決まるのが理想のはず。
これを実現するには、もっと前の段階から、自分らしさや自分の強みについて考えを深める必要があると思います。

このきっかけ作りに、『#IAmRemarkable』はぴったりだと思ったんです。

宗:『#IAmRemarkable』に参加してくれる学生からは、「私のスキルセットって何でしょうか」「私にアピールできる強みなんてないです」といった声を日々、耳にします。

私自身、学生の頃は「自分の強みやスキルって何だろう?」ってすごく迷いましたし、社会人になって数年たった今もまだ迷うことがあります。

『#IAmRemarkable』の良いところは、ちゃんと時間をとってじっくりと自分に向き合い、自分の強みや実績を書き出すという機会があること。そしてそれに対して肯定されたり、サポートを受けられたりするということです。

強みや実績は、どんな小さなことでもかまいません。例えば「毎朝7時に起きて遅刻せずに授業に出席している」というような日々の生活習慣も、学生にとってはとても重要です。

小澤:結局、自分の強みをどう定義して、どう人に伝えるかを決めるのは自分自身なんですよね。自分自身と向き合って、「これが私の強みだ」と決める。この過程そのものが自己肯定感につながるんだと思います。

宗:アジア系の特に女性は、自己肯定感が低いと言われています。こうした状況下で、これからキャリア形成をする女子学生一人ひとりをエンパワーメントすることは、とても意義があると思っています。


ポジティブな変化を日本中の学生に届けたい

戸田:マイナビで学生向けの『#IAmRemarkable』は、これまでに4回オンライン開催しました。参加人数は1 回あたり20 ~30 人で、参加者の学年はさまざま。
ワークショップは全体で約1.5 時間。先にファシリテーターが講義を行った後に、グループワークを行います。

小澤:ワークショップの詳細は参加してからのお楽しみにしたいのですが、ポジティブな気持ちがあふれるあの空気感は参加者だけが味わえる特別なものなので、ぜひ参加してみていただきたいですね。

戸田:参加した学生からは、「小さなことにも自信を持っていいんだと思えた」「自分の長所をアピールすることは悪いことじゃないんだと気づけた」など、ポジティブな変化を実感できたという声が多く上がっています。
そして、なんといっても参加者の皆さんの表情が明るくなっていくので、うれしいです。

開催当初からコロナ禍だったということもあり、ずっとオンライン開催でしたが、今後は対面でも行っていきたいと思っています。
これからも、『#IAmRemarkable』はもちろん、さまざまな形で学生一人ひとりの理想的なキャリア形成をサポートする試みを続けていきたいですね。


(9月29日追記)
※Career TANQは2023年9月29日(金)12:00をもちましてサイトを閉鎖しております。#IamRemarkableの取り組みは継続予定です。

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