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存在意義に迷い続けた私がたどり着いたのは、「自分だから生み出せる価値」を突き詰め、チームを導く存在となること。

株式会社マイナビ

クリエイティブの力で企業と人とを結び付け、それぞれが成長する機会をつくりだすマイナビ社員を紹介する連載「『きっかけ』をデザインするひと」。今回ご紹介するのは、新卒採用向け広報の企画・制作ディレクターかつチームの部長代行を務める阿部くみ子(あべ・くみこ)です。

プロフィール
株式会社マイナビ 就職情報事業本部 企画運営統括本部 企画運営統括部 東京制作2部 部長代行 阿部 くみ子(あべ・くみこ)
大手印刷会社での広告制作ディレクターを経て、2014年にマイナビに入社。それ以来一貫して東京の中堅・中小企業の新卒採用広報物のディレクターを担当。2018年より課長、2022年より部長代行を務めている。

仕事を部下に任せる勇気

私が担当しているのは、前回の平田と同様、新卒採用広報物の制作ディレクターです。

新卒で入社した印刷会社での制作ディレクターを経て、マイナビに入社してから計8年、一貫してこの仕事に携わっています。

2018年から課長、今年からは部長代行と、マネージャーとしてのキャリアも長くなってきました。

マネージャーとして成長を実感できたのは、課長になってから2年ほど経ったタイミングで、ほぼ未経験の部下が中途入社してきた時のこと。

制作ディレクター経験はあるものの、採用広報はまったくの未経験からのスタート。その彼とまず一緒に担当したクライアントが明治大学様でした。

安定志向かつ明治大学出身の学生が集まりがちである点を課題に感じており、もっと挑戦心のある学生に集まってほしい、そのための採用サイトを作りたいというオーダーでした。

自分だけなら、「いつものやりかた」で進められてしまう案件の取り組み方を、人に伝えて、身に着けてもらうのは意外と難しい。そして、 仕事を人に任せるというのも、なかなか勇気がいることで……。とはいえ仕事を任せてメンバーを育てることはマネージャーとして大切な仕事。彼にどのようにこの仕事を任せるか、試行錯誤しながら進めていきました。

労力をかけるなら最初のほうがコスパがいい

未経験の部下に「自分の仕事」として向き合ってもらうためにはどう指導したらよいのか。はじめに伝えたのは、よく一緒にお仕事するコピーライターさんに自分も新人時代に教わった、「何事も労力をかけるなら最初のほうが絶対コスパがいい」という言葉でした。

予算やスケジュール、そして調べものもそうで、例えば最初のクライアントとの打ち合わせに、何にも調べず裸一貫で向かうより、なるべく詳しく先方のことを調べてから向かう方がよりお話を引き出せると思うんです。

例えば3回目のデートなのに「名前なんだっけ?」とか聞かれてたら、どれだけ魅力的な人でもさすがにウンザリするじゃないですか。

一方で「こないだおすすめしてくれた映画見てみたよ、面白かったよ」なんてことを言ってもらえたら、自分に興味を持って気を遣ってくれたんだなって好感が持てる。

これってビジネスにも同じことが言えると思っているので、私自身はコーポレートサイトやニュースリリース、就職情報サイト、転職系の口コミサイト、上場していればIR情報などで、クライアントのことをなるべく詳しく調べて打ち合わせに臨むようにしています。それに、知っていることが多い方が相手と対峙するとき、自分に自信が持てると思うんですよね。

この話を彼にもして、まずは明治大学のことを徹底的に調べてもらうところからスタートしました。

クライアントの言うことを疑ってみる

そのうえで大事にしてもらったのが、クライアントの言っていることを疑ってみる視点。クライアントのことを疑うって、一見失礼な話に思えるかもしれません。でも、自分のことって自分じゃわからなかったりするじゃないですか。それにおっしゃっていることが正しかったとしても、一度疑ってみることで、その言葉の裏側に眠っているものが見えることもあります。

今回も最初は彼と一緒に疑ってみました。例えば、挑戦心のある人材が欲しいと先方は仰っているけれど、じゃあそういった人材が活躍できる仕事ってどこだろう?本当にあるの?とかね。

こうした視点を念頭に調べるにつれ、クライアントが言う「挑戦心のある人材」の輪郭がより明確になってきました。「これから大学を変革するために、周囲の手をひっぱって先導できる人材が必要なのではないか」という仮説に行き当たり、これをぶつけてみたところ、「そう、そういう風に伝えたかったんですよ」と、クライアントの想いの芯を捉えることができました。

明治大学 採用サイト トップページ

ここまでの流れで、クライアントにどうして・どんな表現が必要なのかを彼としっかり共有できていたこともあり、カタチにしていく工程は彼にほとんど任せました。「手強い仕事をしよう。」をメインコピーに、明治大学の挑戦する仕事を力強いトーン&マナーで紹介。大学職員の採用広報ツールとしては、チャレンジングな試みのサイトになったと思います。

私自身、部下に仕事を任せるにあたって、どういったヒントを出して、どう導いていくべきなのか、改めて学ぶことができた案件でした。

マイナビのディレクターならではの価値って?

ただ、採用サイトを作っても、クライアントの望む学生に訪れてもらわなければ採用の成功には至りません。採用サイトを最大限活かすため、就職情報サイトのマイナビの設計についても併せてご提案することが多いです。たとえば、マイナビの企業ページに採用サイトのメインビジュアルとコピーを活用し、そこから採用サイトへの誘導を図り、より多くの学生に採用サイトを訪れてもらう仕組みを合わせて提案するなど。

明治大学様でもこのような提案をさせていただいて、学生の応募を前年から大幅に増加させることができました。「採用サイトを見て、志望度が上がりました」との声も多く、仕事理解への効果も大きかったようです。

こうした目標達成のための戦略設計までできるのが、マイナビという媒体社でクリエイティブをやる醍醐味だと思っています。

そもそも、ぱっと見「イケてる」コピーやデザインを作るだけであれば、コピーライターやデザイナーが直接クライアントとやりとりすればよくて、私たちが間に入る必要はあまりないかもしれません。でも、それが本来の目的である「採用の成功」を達成できるものでなければ、いくら見た目がかっこよくても意味がない

「この会社の採用の成功につながるクリエイティブって何だろう?」ということを突き詰め、クリエイティブチームを導いていくのがマイナビのディレクターの仕事です。ターゲットである学生の情報や目線をクリエイティブに活かしたり、媒体とのシナジーを生み出せるのは、この仕事ならではだと思います。

自分の存在意義に悩んだ時期

と、偉そうなことを並べてしまいましたが、私自身「ディレクターとして価値を生み出す」ということにはずっと悩むことも多かった。

自分がイメージするものを形にしてもらうには、デザイナーにどう話を振ったらいいのか?デザインのプロであるデザイナーにどこまで口を出していいものなのか?そもそも自分がイメージするものが正解なのか?自分のディレクターとしての存在意義って何だろう――と、試行錯誤する時期が長くありました。

そこから脱するきっかけになったのが、マイナビに入社して2年目くらいに担当したある案件でした。そのクライアントの課題が、世の中から持たれているイメージと、本来的に見せたいイメージに大きなギャップがあるということ。

本来はどのような組織なのか、詳しくお話を伺っていきました。世間からは保守的で安定したイメージを持たれている企業でしたが、実際に見えてきたのは、人々の暮らしをあらゆる場面で守り発展させるためにアグレッシブに動いている姿。さらには、「それでもやるべきことの1割もまだできていないと思う」とまで悔しそうに仰っていて――そんな風に熱く語る採用担当者の姿が意外でもあり、そして、とてもかっこよかったんですね。こうして引き出すことができた、この組織が成し遂げたいと願うミッションや熱意をしっかりと表現したいと思いました。

コピーライターとデザイナーに伝えたのは、上記のミッションをストレートに伝えることが今回のソリューションになるんだということと、そう思い至った過程と理由。結果、細かいことを伝えなくても、コピーがしっかり立っていて、スタイリッシュなデザインで、伝えたい情報がしっかり伝わる内容の採用サイトを制作することができました。

この案件で気が付いたのが、私がするべき仕事というのは、クライアントから“キラーワード”を引き出すことなんだということ。

コピーライターやデザイナーはプロなので、良い食材(=ターゲットに刺さるエレメンツ)を集めてきてお渡しすれば、作り方をあれこれ指示しなくても、おいしい料理(=良いクリエイティブ)を作る手段はたくさん持っているんですよね。この「良い食材(=キラーワード)」を集めてくるのが私のやるべき仕事なんだと、自分なりに納得できたんです。

でも、ディレクター全員がそういったタイプだとも思いません。クリエイティビティに長けていて、デザイナーに細かく指示出しをするのが得意なタイプもいれば、私のようにクライアントと関係構築をしたり戦略を立てたりするのが得意なタイプもいる。

なので、制作メンバーには自分の得意とすることや、適したポジションを見つけてほしいですし、私はマネージャーとしてそれぞれの特性にあった仕事を振り分けたり、考えたり調べたりする方法論を惜しみなく伝えることで、スキルを伸ばしてもらいたいと思っています。

学生に対して誠実なクリエイティブになっているか?

そして、忘れてはいけないのは 、自分の手を離れた成果物がどう役に立つのかというゴールです。

一般的な商業広告と違って、採用広告は売れればOK、人が集まればOKというものではありません。先方の課題を解決するものになっているのか、さらに言えば学生に対しても誠実なものになっているのかは、常に念頭に置く必要があると思っています。

納品してから最低でも1年、長ければ数年にわたって使われるものですし、学生の人生を左右する可能性があるのが、採用広告の特徴であり醍醐味です

なので、学生に対しても嘘のない、きちんとその企業の現在地を伝える内容にしたいと思っています。

マネージャーとしての今後の目標

今後のマネージャーとしての目標は、「慣習でなんとなくやっている作業を減らしたい」ということです。なぜ、それをやらないといけないのか?ということを知らないと、さぼりたくなるのが人間だと思うので。

例えば受発注管理ひとつとっても、会社として下請法などの法令を遵守することはもちろんですが、自分が適当にすることで協業している大切なクリエイターさんたちが不利益を被るかもしれない。自分と作業の因果関係が理解できれば、「きちんとしよう」というやる気がわくと思うんです。何事も問題の根本を知ったうえで取り組みたいというのは、私が広告を作る時の作法と一緒かもしれません(笑)。

もちろん、そのためには自分自身が意味を理解していることが必須なので、知的財産管理技能士資格の取得なんかも今後、目標にしています。

あとは何より、メンバーそれぞれの得意とするところを見つけて伸ばしていくことです。コーチングだけで伸びるタイプなのか、綿密なティーチングもしてあげたほうがいいタイプなのか。クリエイティビティにこだわりたいのか、戦略立案に注力したいのか。

見極めてそれぞれに合ったマネジメントをすることで、メンバー一人ひとりが成長できて、それがクライアントの課題解決にもつながっていくような、そんなチーム作りをしていきたいですね。


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