あらたな地域活性のかたちとは。マイナビの“古民家宿”が大切にする「歴史を活かす」「地元の協力」「地域の方と共に歩む」。
8月も下旬となり、夏休みも終盤となりました。夏休みが終われば9月にはシルバーウィークがあり、10月には秋の訪れとともに気温も下がり過ごしやすい行楽シーズンとなります。しかし新型コロナウイルスの影響で、ここ数年は遠出ができず悔しい想いをしている方も多いと思います。落ち着いたらどこかへ行きたい、都会から離れたい、静かな場所で過ごしたい…。
今回はマイナビグループのひとつ、株式会社マイナビ不動産が運営する千葉県の一棟貸し古民家宿をご紹介します。
古民家宿は、古い家屋を現代風にリノベーションしながらも当時の面影を残した宿泊施設。都会の喧騒を離れ、非日常が味わえる空間として人気を集めています。
古民家宿だからこそできる体験とは。その魅力とは何なのか。そして古民家再生事業がもたらす地域活性化とは。
まだまだ旅行に行きづらい環境ではありますが、「古民家宿が前から気になっていた」という方や、非日常を味わえる場所を探している方、そして地域活性に興味がある方にも是非読んでいただきたいと思います。
喧騒から離れ、古き良き原風景を体験できる2つの宿。「大三川邸」「和信庵」
マイナビ不動産は千葉県で2つの古民家宿を運営しています。それが「大三川邸(千葉県多古町)」と「和信庵(千葉県大多喜町)」です。
農業が盛んで、江戸時代に幕府に献上されていたとされる「多古米」や、やまと芋、「元気豚」などの名産品で知られる千葉県多古町。成田空港の東となりに位置し、江戸時代には‟多古藩“として栄えていました。そんな場所にある宿「大三川邸」は、江戸時代から150年の歴史をもつ古民家です。その昔、豪農であった大三川家の当主は、この地で農業を営みながらも苗字帯刀が許されていました。その後、旧多古町の町長にもなった由緒あるお家だったと言い伝えられています。
大三川邸のコンセプトは、「喧騒から離れ、日本の古き良き原風景の中で過ごす特別な時間を味わっていただく」こと。田園風景を望むことが出来るプライベート露天風呂、蔵をリノベーションしたシアタールーム、日本庭園を望むウッドデッキ、地元食材を素材の味のまま召し上がっていただけるように鉄板焼きスペースなどを準備し、大三川邸ならではの贅沢な時間の過ごし方を体験していただけるような工夫をしています。
一方、歴史的な街並みと緑豊かな大自然が魅力的な町・千葉県夷隅郡大多喜町にある「和信庵」。大多喜町のシンボルでもある「大多喜城」は徳川四天王・本田忠勝の城で、大多喜駅周辺は歴史的な街並みが広がっています。四季折々の表情を魅せる養老渓谷はインスタ映えスポットとして人気で、菜の花列車で有名な「いすみ鉄道」も走っています。
和信庵のコンセプトは「日本昔話の世界に入り込んだような情緒的な空間で、仲間や家族だけのプライベート空間を楽しんでいただくこと」。もともとは築140年~150年と言われる古民家ですが、雨の日も楽しめるプライベートBBQ場を併設し人目を気にせず食事を楽しめ、離れの岩風呂は温泉旅館に来たような雰囲気。大型プロジェクターなどの設備も設置しているので、ワーケーションや企業の研修、ゼミ合宿など、旅行以外の用途としても人気です。
古民家宿の魅力は、誰もが感じられる“ノスタルジー”
古民家宿の魅力とは何でしょうか。
古民家は昔ながらの造形美や広々とした空間を活かした作りなど、世代を問わず(若い方にも)どこか懐かしい気持ちを思い出させてくれる、そんな不思議な魅力があります。100年以上、豊かな自然の中に佇んできたという歴史と、都会とは違ったゆったりとした時の流れ、そして大自然の息吹を体感することができます。
「大三川邸」「和信庵」、どちらも一棟貸しですので、完全な貸し切り。家族、友人、知人、パートナーとプライベートな時間を味わえるのも魅力です。
さらに、古民家に宿泊する体験を通して、その土地に興味を持っていただき、歴史や文化に触れるきっかけにも繋がるのではないかと思います。
大事にしている3つのポイント。歴史を残す、地域に貢献、そして地域とともに歩む
マイナビ不動産の古民家宿は3つのことを大切にしています。
「古民家の歴史や良さを残し活かす」「運営はできるかぎり地元の方々にお願いする」「地域の方と共に歩んでいく」。
古民家には脈々と続く歴史やその地域での役割があります。今では使われなくなった家ですが、その地に根付いた家の歴史を新しい何かに変えるのではなく、私たちが引継ぎ、残していくという気持ちを忘れないようにしています。
また、地元の方に運営やお食事提供を依頼することにもこだわっています。建物に不具合がでたときは可能なかぎり地元の工務店や電機会社にお願いし、雇用・経済という面で少しでも地域に貢献できるように心がけています。
地域の方へのしっかりとした説明も重要です。突然、東京の会社が古民家を活用すると知ったとき、隣の家に住む方はとても不安な気持ちになるのではないでしょうか。地域の方と対話を重ねることで、その地に溶け込むことが、地域ビジネスをする上でとても大切だと思っています。
これらを大事にすることで、私たちの活動がいずれは地域に還元される。その土地のその古民家でしか出せないコンセプトを大切にする。そして地域に愛された古民家を地域の人たちの力を借りながら発展させる。そんなことを目指しています。
止まらない空き家問題。2038年には2303万戸が空き家になると言われる
ではなぜマイナビ不動産は古民家宿事業を行うのか。その背景のひとつには「空き家問題」があります。
近年、不動産市場で社会問題となっているのが、少子高齢化や人口減少による「空き家問題」。野村総合研究所のシミュレーションによれば、2038年には2,303万戸が空き家となり、空き家率は31.5%ほどになると予測されています(※)。
(※)出典:野村総合研究所「2040年の住宅市場と課題~迫力を欠くストックシフト、本腰を入れた取組が必要~」(2022年6月9日)より。空き家数・空き家率のシミュレーション<シナリオ①除去率が2008-12年度の水準に戻る>
マイナビ不動産の担当者によると
また、
空き家問題には多くの地方自治体や企業が解決に乗り出しており、私たちもその一助となりたいと考えたのが事業のきっかけでした。古民家の新たな魅力を生み出すことで、所有者、宿泊者、そして地域の皆さんに喜んでいただきたい。そして、私たちの取り組みが空き家に再び明かりを灯し、活動の輪が広がることで地域社会の活力になりたい。その想いを胸に、事業に取り組んでいます。
また宿泊施設が決して正解だとは考えていません。飲食店やスタジオ、結婚式場など古民家には様々な活用方法があるかもしれません。今は千葉県を中心に展開していますが、しっかりとノウハウをため、地域ビジネスの成功例を全国に展開することを目指しています。
マイナビの地域ビジネスは一歩一歩前に
マイナビ不動産は「大三川邸」「和信庵」だけでなく、その他にも地域課題の解決にトライしています。同じく千葉県では、廃校を活用した団体宿泊施設(ちょうなん西小)、地域食材を扱うグロッサリーストア(FARM COURT袖ケ浦)、レストランなどを運営。東京では、新宿の駅前で地域の特産品を集めたマルシェを行ったこともあります。
この事業を始めるまで、マイナビが地域へ貢献する方法としては、Uターン・Iターン就職の促進といった就業支援がメインでした。しかしマイナビグループのリソースを使えば、違った側面から地域活性化に貢献できるのではないか。試行錯誤しながらも、一歩一歩事業を前に進めています。
有形無形の地域資産を活用した地域の魅力発信・事業開発をはじめ、自治体ごとの課題に応じたコンサルティングなど、今後もさまざまな可能性を探っていきます。
最後にマイナビ不動産 社長・緒方賢からのコメントをご紹介します。
まずは「大三川邸」「和信庵」、どちらか気になる宿があればぜひ利用してみませんか?
マイナビ不動産 https://fudosan.mynavi.jp/sousei/