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就職活動を支え、わたしを奮い立たせてくれた「わたしの就職活動のテーマ曲」。多くの就活生から支持を得た「就活ソング」に込められた想いを紐解きます。

当時よく聴いていた音楽を耳にして、人生の節目や転機をふと思い出す……。なんてことを経験されたことがある方も多いのではないでしょうか。

楽しかった思い出を呼び起こす曲、悲しい思いをした日に支えてくれた曲、勇気をもらって踏み出すきっかけをくれた大好きな曲が、みなさんにもあると思います。

マイナビでは就活生を対象とする調査の一環で、「あなたの就職活動のテーマ曲」をひとり1曲挙げてもらっています。多くの就活生の票を集めた曲を「就活ソング」と題し、毎年ランキングで発表しています。

ランキング開始当初から担当しているのは、マイナビキャリアリサーチラボの石田力(いしだ・ちから)。就活ソングランキングはどのようにしてスタートしたのか。その背景やこれまでのランキング結果について、インタビューをお届けします。

【プロフィール】
マイナビキャリアリサーチラボ
研究員 石田力(いしだ・ちから

新卒で毎日コミュニケーションズ(現マイナビ)に入社後、営業、雑誌編集、データベースシステムのユーザーサポートなどを経て、2012年より調査業務に従事。小学校高学年から中学校にかけて「ザ・ベストテン」など日本の音楽チャートにハマり、高校時代は「ビルボート」「UKチャート」など洋楽チャートにハマった。初めて買ったレコードは甲斐バンドの「ビューティフル・エネルギー」、初めて買った洋楽のレコードはポリスの「シンクロニシティ」。

「就活ソング」の調査をはじめたきっかけ

「就活ソング」ランキングを開始したのは2014年卒(2013年実施)から。当時、スマホやiPodで音楽を聴いている人が多く、「YouTube」が普及してきたタイミングということもあり、大学生は最新の流行だけに捉われず自由に音楽を聴いている印象を受けていました。

日常的に音楽が身近にある世代が、人生の契機となる「就職活動」のときに聴く曲は何なのか。曲にまつわるエピソードなども踏まえながら就活を振り返ってもらい、そのとき感じた就活生の「想い」を紐解きたいと思ったのがきっかけです。

調査初年度、実際に実施してみて驚いたのは、思ったより懐かしい曲がランクインしていたことです。

1位の「負けないで」は1993年リリース、2位の「終わりなき旅」は1998年リリースと、2013年の調査当時よりも10年以上前に発売された曲です。3位の「ファイト!」に至っては、当時の就活生が生まれてすらいない1983年にリリースされた曲で、むしろ私自身がリアルタイムで聞いていました。

その曲が応援歌として当時の学生にも浸透し、若者の心に未だに響くということに純粋にびっくりしました。

1位を獲得した「負けないで」は、その後2018年卒まで4回連続1位を獲得し(※)、見事、殿堂入りを果たしました。くじけそうなときや頑張りたいときに聴く曲は、色あせないということを感じましたね。
(※)2017年卒のみランキングを中止

学生のコメントでも「この曲を聞くと勇気づけられる」「あきらめないことや、その先にあるゴールを意識できる」などの声があり、就活生が目の前の大きな壁を克服するために、自らを奮い立たせている様子も知ることができました。

ランキングはメディアからの反響(「就職活動に『負けないで』」といった見出しでの記事掲載など)があって嬉しかったことも覚えています。就職活動というと、社会に出るはじめの一歩を踏み出すタイミング。思うようにいかず、不安に感じる学生も多いと思います。

そんなときに学生自身がどんな気持ちでやり切ったのか。ゴールに向かって邁進したのか。「就活ソング」という視点からそれを知ることができ、メディアを通して多くの人にお伝えすることができて、とても良かったと思っています。

時代背景を映した「就活ソング」

初年度の調査はとても思い出深いですが、それ以外にも印象的な「就活ソング」はいくつもあります。

例えば、2015年卒(2014年実施)では、2位にディズニー映画『アナと雪の女王』より「レット・イット・ゴー~ありのままで~」がランクインしました。

当時、映画が大きなブームを巻き起こした影響もありましたが、「社会に要求されがちな社会人像ではなく、ありのままの自分でありたい」という就活生の素直な気持ちが現れているように感じます。

就職活動の振り返りとして「正直に自分を伝えるようにしたらうまくいった」というコメントをよく耳にしますが、それを体現したこの曲に、多くの学生が共感したのではないかと思います。

2018年卒(2017年実施)は、欅坂46の「サイレントマジョリティー」が2位となりました。曲名から受ける印象がこれまでランクインした他の曲とまったく違うと感じて、思わず「YouTube」で検索して聴いてしまいました。

自分を励ます明るい曲や応援歌がランクインするのがこれまでの傾向でしたが、「サイレントマジョリティー」はどちらかというと少し暗く力強い曲調

この曲を選んだ学生からは「自分の意思を持つ」ことや「自分が信じた道を進む」ことの大切さを知ったというコメントがあり、就職活動を通して感じた社会とのギャップに不安を覚えつつも、自分を信じて前に進むという状況と曲の歌詞が結びついたのではないかと考えています。

2021年卒(2020年実施)では、Official髭男dismの「宿命」が1位となりました。この頃から、定番曲の割合が減り、最新曲も多くランクインしてきた印象です。

「宿命」を聴くことで、自分の将来に向けて大きな一歩を踏み出すための後押しになったり、あきらめずに頑張ろうと前向きな気持ちになる学生の様子がうかがえました。社会への一歩を踏み出した就活生のとまどいに共感しつつ、未来に向けて背中を押すきっかけになる一曲として捉えられていたように感じます。

直近の2023年卒(2022年実施)では、サンボマスターの「できっこないをやらなくちゃ」が1位に輝きました。2019年卒以降、10位以内に必ずランクインしていたこの曲ですが、じわじわと支持を集め、満を持しての1位になりました。

困難な状況であっても、自分のやっていることを前向きにとらえるこの曲は、「共に歩む一曲」として就活ソングに選ばれたようです。

学生からは「不安が多いけれど、この曲を聴くと挑戦してみようと思える」「自分にはできそうにないことも頑張ろうと思える」など、まさに「できっこないを やらなくちゃ」というタイトル通り、自分を奮い立たせるために聴く1曲だと思います。

これからも、様々な視点から就活生の「イマ」を伝えたい

これまで、就活ソングの調査を通して感じたのは、社会に対して思い描くあこがれや反発が、就活ソングの歌詞やメロディと共振し、就活生のありのままの姿や思いを私たちに感じ取らせてくれるということです。

今後も、就活ソングを調べることで、就活生の本当の気持ちを感じ取っていきたいと思います。担当している調査の多くは統計的なもので、「就活ソング」のような調査は珍しい部類に入ります。でも、統計的な調査だと、出てくる結果はあくまで割合や数字。

人の心を推し量るために、今回のような「就活ソング」といった切り口から調べることで、就職活動で不安や悩みを抱えながらも、それをなんとか打破し、未来に向けて進んでいこうという学生の気持ちが伝わってくるような気がしています。そういった気持ちの側面を、数字的ではなく違う視点から調べることで多くの人に感じ取ってもらえればと思います。

広く共感を集める定番曲と、時代を反映した新曲が融合する就活ソングランキング。2024年卒以降も変化していくランキングからどのような就活生の本音があふれでてくるのか、ぜひ注目してください。


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