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学びが仕事につながり、仕事が学びにつながる。働きながら学校に通う「社会人学生」を楽しみながら続けられる秘訣は、あえて“頑張りすぎない”こと。

育児・スポーツ・音楽・ダンス・推し活など…
働き方の多様化が進むいま、仕事と別の活動を両立して、自分のライフスタイルを確立している人も多いと思います。
 
連載企画『わたしの「#もうひとつのかお」』では、仕事以外の「かお」を持つマイナビ社員に、その活動にかける想いや、両立法について聞いていきます。
読者の皆さんにとって、ご自身のワークスタイルを考える“ヒント”になれば嬉しいです。

第3回は、「マイナビキャリアリサーチLab」で雇用や労働に関連する調査研究をしながら、社会人学生として大学院で心理学の研究をしている東郷こずえさんにインタビューしました。

仕事・学校・家庭を、“楽しみながら”両立するための秘訣はあえて“頑張りすぎない”ことだそうです。

【プロフィール】
東郷 こずえ(とうごう・こずえ)
1978年大阪府生まれ。食品メーカーへ新卒で入社し、営業職や研究職などを経験したのち、2007年株式会社毎日コミュニケーションズ(現:株式会社マイナビ)へ中途入社。 就職情報事業本部にて事業推進や業務推進などの業務に従事。その後2019年より、HRリサーチ部へ異動。雇用や採用の調査研究を行う「マイナビキャリアリサーチLab」が2021年の立ち上げ時から、研究員として勤め、現在は主任研究員。2022年から筑波大学の社会人大学院に通い心理学の研究を行っている。現在2年生。

―きっかけは、研究員としてのレベルアップ

私の仕事は、雇用や採用の調査・研究を行う「マイナビキャリアリサーチLab」※の研究員です。調査・研究をするだけではなく、発表した結果に対してメディアの方々が興味を持ってくださった場合は、取材の対応をすることもあります。
大学院で学びたいなと思い始めたきっかけは、業務上大学の先生方と学術的なお話をする機会も多く、「企業側の視点」と「学術側の視点」とのどちらも兼ね備えた研究員になりたいと思ったためです。
大学院に入る前もテキストを活用したり放送大学を受講して独学での勉強はしていました。ただ独学ではインプットはできるものの、それを組み立てて形にし、世の中に発信するアウトプットまではできないと感じ、大学院に通うことを決めたんです。
 
※雇用や労働に関連する様々な調査データやレポートを通じて、雇用の在り方や個人のキャリアを考える上で役立つ情報を提供するサイト
https://career-research.mynavi.jp/

メディアからの取材に対応する東郷さん

実際に大学院に通い始めると、以前から業務の中で共同研究をしていた先生とのやり取りの質が変わったように思います。研究者の先生方は学術の専門用語を多く使うので、その意図や意味をくみ取って話をするよう意識をしました。言葉の選び方や受け取り方を、それぞれの立場から理解できるようになったことで、仕事の取り組み方も変わった気がします。

筑波大学 東京キャンパス(茗荷谷)

―前向きになれる研究をしたい

ゼミに入って、先生にまず私から伝えたことは「ただネガティブな研究だけで終わりたくない。働くことのポジティブな側面をみて、少しでも前向きになれる研究にしたい」ということでした。
なので、修士論文では『共働き夫婦のワーク・ファミリー・エンリッチメント(仕事や家庭などでのひとつの役割が別の役割における質を高めること)が、職場でのイノベーション行動に及ぼす影響』というテーマについて研究したいなと思い、準備を進めています。仕事と家庭というと、「対立するもの」や「葛藤」といったネガティブな話題で取り上げられることが多いのですが、最近はその2つを両立させることで相乗効果を生むというポジティブな側面に注目した研究も増えています。
 
日頃の業務では、企業の人材採用や求職者・働く人々の心境に注目して調査・研究を行っていることもあり、働く人々にとってより豊かで、ポジティブな話題を提供していきたいと思い、こうしたテーマを選びました。

―社会で日々感じる“問題意識”に対しての研究

私の通う大学院では修論を出して「はい終わり」ではなくて、「研究成果をきちんと社会に出していこう!」といった風土や環境があります。独学で勉強していた時にはできなかった「アウトプット」をする風土があるので、今の大学院を選んでよかったなと思っています。
 
私が専攻しているのは心理学をベースとした学問です。心理学にはいくつか領域があるのですが、私が学んでいる心理学の共通点は「対人支援を目的とした領域』という特徴があります。つまり、学校の先生や児童福祉施設の職員や人事のように、人と関わる業務の中で活かせる心理学なので、まさに社会人学生ならではの学問だなと感じますね。

社会人学生の良さは社会で日々リアルに感じる課題や問題を、研究できることにあります。学生の時は「なんでこれを学んでいるんだろう?」「こんなこと学んで将来役に立つのかな」などと、学んでいる最中にもモヤモヤしていた気がします。ただ、今は学んだことがすぐに次の仕事に活かせたり、逆に仕事で感じた疑問をすぐに学べたりと、学ぶことに対しての喜びが大きいですね。

 受験勉強のときの参考書

―無理と思っていたことも、意外と“なんとかなる”

大学院1年生のときは、受講可能な全授業を受講していました。ほぼ毎日学校に通っていた時期もあり、そのときは、結構ハードな生活を送っていましたね。社会人が通う大学院なので、講義は平日夜と週末が中心です。
大学院には当番制で授業の準備をする「授業係」という社会人大学院ならではの制度があり、その日はいつもより30分早く学校に行かなくてはならず定時になると、いわゆる“定時ダッシュ”をしていましたね(笑)本当に1秒も無駄にはできないので、まさに戦いでした。
スニーカーを履いてリュックを背負って、大学院用のパソコンも持って走って駅まで行って通学して…と、とても大変だったのを覚えています。大学院に通い始める前は、業務を時間内に終わらせられるか不安もあり「本当に通えるのかな?」と思う部分もありました。ただ、きちんとスケジュールを立てて、時間の使い方を工夫すれば意外となんとかなるものだなと思います。
 

―年齢・性別・理由も様々な“社会人学生”

同じプログラムに通っているクラスメイトは25名(うち2名は研究生のため1年間)。私みたいな一般企業で働いている人や、福祉系の職種の人、学校の先生や経営者の方、様々な方が通っています。男女比は半々で、世代は20代~60代までと、とても幅広いですね。クラスメイトの中には、海外出張や急な対応がある職種で、自分の都合だけで時間を調整することが難しい方も多いです。私とは比にならないくらい忙しい中で、タイムマネジメントをして大学院に通っていて、とても凄いなといつも驚かされています。 

クラスメイトはいろんな人がいますが、心理学系のクラスなので対人の仕事についている人が多く、人の心境に興味がある方が集まっていますね。
同じクラスの友達と食事に行くこともあり、まったく違う領域で働いている人の話が聞けるのはすごく新鮮です。マイナビにいると就職活動の話題がメインですが、福祉や教育現場での話を聞くと、自分の見ていた世界は本当に世界のごく一部なのだと気づかされます。

逆に福祉業界にいる友人も、私の話を聞いて「今まで当たり前だと思ってきたことがそうでなかったんだ」と言っていました。会社に勤めながら、視点を交換できるっていいですよね。みんな人の気持ちに寄り添う仕事をしているからか、優しい人が多いので、卒業してからも仲良くしていけたらなと思っています。

―「好き」でやっていることだから、あえて“頑張りすぎない”

こうして好きな研究に打ち込めるのは、周りの支えがあってこそだと、心から思います。私は課長職なので、3人部下がいるのですが、相談事項があったら夜にメールをもらって朝に返信をするようにさせてもらったりなど、私が学校に通うことに対して、凄く理解をしてくれており、周囲の環境に恵まれているなと思います。
 
家事については夫婦2人で、分担とかはもともとしていなかったんです。夫には入試に合格してから、「学校に通うようになるから、これから夜はあんまり家にいないかも」と伝えたのですが「そっか、勉強頑張ってたもんな、別に大丈夫よ」と言われただけでした。積極的に応援するとかではないけど、温かく見守っていてくれている感じなんですかね。家に帰れば会えるし、ごはんも一緒に食べるし、そんなに無理に頑張って時間を作らなくても大丈夫なのかなと思っています。
とはいえ仕事と家庭だけだった生活に大学院が入ってきたので、部下や夫に協力をしてもらったりなど、時間の使い方には工夫が必要でした。あとはどれだけ時間がなくても、趣味の時間は絶対に作るように意識をしていました。
私はゴルフが大好きなので、元旦には夫とラウンドすることと、月に1回はラウンドなりレッスンなりに、絶対行くように決めています。
ゆとりがない日々だと「学校のせいでいろんなことができない!」と、もともと好きで学校に通い始めたのに、嫌いになっちゃいそうで。
 

旦那さんとの元旦ゴルフの様子

社会人大学院に通っている人はマイナビ社員にも結構いるみたいですね。以前も何かをきっかけに知り合って、「みんな仕事と両立してるんだな」と思い、自然と前向きな気持ちになれました。
“前向きに、頑張り過ぎない!”をモットーに、これからもやっていって、できれば博士課程も狙っていきたいですね。


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