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地域の価値を創るだけではなく育てていきたい――。地域の方に愛される「ちょうなん西小」の廃校リノベーションを通じて、持続可能な地域創生を目指す。

地域活性化を目的に、古民家や廃校などの地域の資産をリノベーションして新たな価値を提供する地域創生ビジネス。都市部の一極集中や空き家問題などが課題とされる昨今、古民家や空き公共施設の活用が注目されています。
 
マイナビグループであるマイナビ不動産では、その土地の特性・資源を活かし持続的な地域創生を目指す活動を行っています。
 
今回は、マイナビが地域創生事業ではじめて手がけ、廃校をリノベーションした団体宿泊施設「ちょうなん西小」を紹介するとともに、地域に持続的に価値を提供するための取り組みや、地域創生ビジネスにかける担当者の想いをお伝えします。(記事の最後には担当者による「ちょうなん西小魅力紹介」も掲載しています!)

プロフィール

マイナビ不動産 地域ビジネス事業推進部 部長代行 竹嶋 智之(たけしま・ともゆき)
2017年3月にマイナビに中途入社。紹介事業本部にて医療機関の採用活動支援、医療従事者向けのキャリアサポートに従事。2020年4月に社内公募制度を利用し、株式会社マイナビ地域創生に出向。同社の統合により株式会社マイナビ不動産に事業を引継ぎ、千葉県を中心に廃校を活用した団体宿泊施設・古民家宿・地域食材専門店の運営と、新規事業開発の責任者として地域創生に取り組む。

長南町の発展を目指して――ちょうなん西小のはじまり

ちょうなん西小は、千葉県の真ん中・長南町にある旧長南町立西小学校をリノベーションして作られた宿泊施設。長南町立西小学校は1896年(明治29年)に開校した120年以上の歴史をもつ小学校です。長南町の人々に愛されてきた小学校ですが、近隣校との統廃合により2017年に閉校しました。
 
「長南町の子どもたちの思い出がたくさんつまった校舎をずっと残していきたい」「地域活性化の拠点として生まれ変わらせたい」という想いから、廃校をリノベーションし、2018年に団体向け宿泊施設「ちょうなん西小」としてオープン。現在は、宿泊施設・キャンプ場のほか、旧職員室を地域の町民の方々向けにカフェとして運営しており、地域交流の拠点としても利用いただいています。
 
マイナビ不動産が地域創生事業をスタートさせるにあたり、首都圏に近い千葉県長南町には豊かな自然があるだけではなく、平野町長の「廃校活用企業の事業によってこの町を発展させていきたい」という行政の強い想いやビジョンに共感したことが、地域創生事業チャレンジへの第一歩に長南町を選ぶきっかけになりました。

 大切なのは地域創生ビジネスを「創る」だけではなく「育てていくこと」

私はマイナビに中途で入社したのですが、マイナビは事業部ごとにサービスを運営しているので、同じ会社でも人事異動によって様々なキャリアを形成できることに魅力を感じ、入社を決意しました。

入社後は人材紹介の事業部で転職支援の仕事に3年間従事しましたが、かねてから「新規事業の立上げを経験したい」「経営視点を身につけたい」「自分の経験を話せる面白そうな仕事がしたい」という想いがあり、社内公募制度を利用し、現在の仕事をすることになりました。

地域創生の事業に関わるようになって実感したことは、地域事業は「創る」ことも大切ですが、創った後にどのように「育てていく」かが重要であるということ。長く地域と共に歩み続けることこそが大切であると感じることが多くありました。

異動当時はコロナ禍の活動自粛が続くタイミングでしたので、宿泊業にとっては最悪の状況でした。予約もなく経営も厳しい状況で、このままでは事業が成り立たないと強い危機感を覚えながら働いていたことを覚えています。

事業が成り立たなくなったからサービスを終了し「はい終わり。」とはいきません。

その影響は「地域での雇用」「取引先」「地域住民」「行政」など、様々な方に及びます。皆様の期待に応えたいとうプレッシャーを日々感じていました。

そんな逆風を経験したからこそ、地域創生はボランティアではなく、ビジネスとして成り立っていなければ誰の期待にも応えることが出来ず、むしろ期待を裏切ることに繋がるのだという想いが強くなりました。

現場のスタッフのアイデアをかたちに。それが正解への近道。

「事業を育てていく」ために大切にしていることは、現場のスタッフの意見を聞くこと。お客さまにとって一番近い距離にいるスタッフの意見の中にこそ、正解が隠れていると思っています。アイデアを思いついても、なかなか取り組む時間がない。あるあるですが、私たちのチームも同じ状況でした。

何かを変えるためには何かを捨てなければいけない。これまで数字報告が中心だった会議を辞め、アイデアを気軽に言える場をつくり、すぐGOサインを出せる環境に変えていきました。ありがたいことに「事業を良くしたい」「事業が好き」という考えは、スタッフ全員が持っていたので、良いアイデアはどんどん取り入れ、トライ&エラーを繰り返しながら正解を探す組織運営に変えることからスタートしました。

スタッフのアイデアを形にした一例として、校庭へのキャンプ場設置や、カフェで提供しているメニューの開発があります。長南町特産の米粉を使ったカヌレや、長南町産のシイタケを使ったバーガーなど、多くの人気商品が現場スタッフの意見から生み出されていきました。

カフェ自慢のジェラートとカヌレ

今では、キャンプ場での取り組みは、スポーツオーソリティ幕張新都心店(株式会社メガスポーツ)とコラボレーションしYoutube企画などを通して多くの皆様に知っていただけるように成長しました。また、カフェで提供するちょうなんバーガーは人気NO.1メニューとなり、カヌレやジェラートはECサイトでの全国販売の開始の準備をするなど、現場スタッフの気づきやアイデアから作り上げたものが繋がり、発展し成長していくことを実感しています。

カヌレなどはゆくゆくは長南町のふるさと納税の返礼品になることで、長南町の税収の一助になれば嬉しいですね。

私たちは地域ビジネスに取り組むプレイヤーであると同時に、ひとりの生産者でもあります。地域ビジネスの成功事例を社会に発信するためには、生産者や地域で活動するプレイヤーとしての視点を持つことが大切だと思っています。

データや分析だけでは語れない生身の経験を通して失敗と成功を肌で感じながら成長することこそが、地域創生ビジネスを「育てていく」ことに繋がると信じていますし、いつか私たちの取り組みを真似したいと思ってくれる方や、どこか別の地域で同じ活動をしたいという方が現れたとき、私たちの経験したことが価値になり広がりをもって成長していくのだと思っています。

つながりを大切に、一緒に地域を盛り上げる仲間とともに

長南西小のカフェスペース。地域の方々の交流の場としてはもちろん、
企業どうしで長南町の活性化について話合う場にもなります。

これからも地域の企業や行政とのつながりから、長南町の魅力を発信する仲間を増やしていきたいと考えています。

スポーツオーソリティ幕張新都心店とのコラボもその一例です。初めは西小キャンプ場で使う薪の購入から取引がスタートしたのですが、お付き合いしている中で、スポーツオーソリティさんがYouTubeチャンネルでアウトドアに役立つ情報を発信していることを知りました。お互いに、地域活性につながる事がしたいという想いが共鳴し、私たちは撮影地として場所を提供し、スポーツオーソリティさんには西小をPRしてもらうwin-winの関係性を築いてきました

現地で知り合う方々とのご縁で新たな取り組みがスタートし、それに共感してくれる人がちょうなん西小を通じて長南町に来てくれる。そしてまた新たな出会いから取り組みが生まれる。Web3.0の時代に逆行しているようなアナログな感じですが、私はどんな時代においても人とのつながりこそが大きなムーブメントを生むきっかけになると思っています。

日本で地域創生のロールモデルを創りたい。そのために持続可能な地域活性を目指して。

組織的な話になりますが、私が所属していた部署はもともと「地域創生推進部」という名称でした。いまは「地域ビジネス事業推進部」と名前を変えています。この部署名には「自分たちの目標をどこに置くか」を考え、地域創生は“ビジネス”として取り組むことが重要だと再認識する意味を込めています。

地域活性を持続可能なものにしていくためには、事業として成り立たせる必要がある。「うまくいかなかった」といって途中で終わってしまったら、その場所は無人の寂しい場所になってしまう。「長く続けられる状況をつくる」というのが私たちの考えの根底にあります。

まだまだ国内での地域創生ビジネスの成功パターンは少ないと思っていて、マイナビグループとしてひとつの成功の形を生み出したいと思っています。そして、マイナビの強みである「人」や「採用」に「地域創生」をかけ合わせたサービスを構築できれば、そこに新たな価値が生まれると信じています。

成功者の少ないとても難しいチャレンジですが、私たちなりに成功と呼べる社会的意義のある事業を作り上げていきたいです。

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ちょうなん西小の魅力紹介

地域創生ビジネスに対する想いが詰まった「ちょうなん西小」。最後に、その魅力を写真とともにご紹介いたします。

ちょうなん西小の入口。地域の方も集まるオープンなカフェが目印です。
研修やワークショップに使われる多目的ホール。
実際の卒業生が作成した卒業制作が飾られています。
体育館で汗も流せます!時々、Youtuberの方が運動会企画をすることも。
(運動会グッズも貸出可能です!)
中庭にはバーベキュー場。焼き台はスタッフの手作りです。
ゆったり眠れる宿泊スペース。もちろん冷暖房完備!
1日の疲れがとれる檜風呂。施工は地元の工務店さんにお願いしています。
広々とした芝生の校庭。キャンプスペースもご用意しています(別途予約)。

地域創生の想いが込められたちょうなん西小。みなさん、ぜひ遊びにきてください!


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