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人事統括本部とAI戦略室を兼任する谷本が大切にしている“人の可能性”を引き出すAI活用とは。

マイナビは2022年10月にデジタルテクノロジー戦略本部を設立しました。

就職や転職に関する情報サービス事業以外にも教育、介護、結婚、医療、農業など、携わる領域は多岐にわたり、現在約50のサービスを、データやデジタルを活用して連携させる抜本的な改革を進めています。

今回、人事統括本部で採用に携わりながら、AI戦略室で新しい挑戦に立ち向かう谷本健次さんにお話をうかがいました。

【プロフィール】

谷本 健次(たにもと けんじ)
デジタルテクノロジー戦略本部 AI戦略室 室長
2007年に毎⽇コミュニケーションズ(現・マイナビ)に中途入社。就職情報事業本部の営業として企業の新卒採用事業の採用広報・採用戦略に携わる。2019年に人事統括本部へ異動し、新卒・中途採用から新入社員及び内定者の育成、入社支援を担当。2024年10月にAI戦略室に異動し、人事統括本部と兼任で業務に携わっている。その他、全社プロジェクトでは2021年からAI研究・推進プロジェクト、2022年のパーパス策定プロジェクト、2023年の50周年記念事業プロジェクトにも関わる。


キャリアの転機となったAIプロジェクトへの参加。

2019年、ちょうど40歳を迎える節目のタイミングで営業部門から人事部門に異動することになりました。前職も含めて17年営業を経験しましたが、当然営業で培った経験だけでは対応できないことも多々ありました。

当時は全く違う領域に飛び込んだ感じで、採用に関するアンケート結果から戦略を判断することもありましたが、データの活用方法が分からず、結果的にメンバーへ無駄な作業をさせてしまうことがありました。

そこで自分の知識が足りないと感じ、知見を埋めるためインプットをする中で、マーケティングの勉強をするようになり、データの重要性に気づきました。データを考えるとAIの領域に自然と興味を持つようになり、ちょうどそのタイミングでAI研究・推進プロジェクト(以下、AIプロジェクト)メンバーの募集があったので、今取り組むべきだと手を挙げさせていただきました。

様々なバックグラウンドを持つメンバーが集うことで成果につながった。

世界的規模のデジタル変革がおこる中、産業構造の変化と新しい競争原理に対応する必要性が高まっています。そのような背景からマイナビ全社でもIT・デジタル領域の強化とデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が不可欠となるためAIプロジェクトが発足しました。

AIプロジェクトは全社横断的な取り組みで、各部門から多様なメンバーが集まりました。プロジェクトは領域ごとにテーマを決めて取り組んできました。エンジニアだけではなく、他部門のメンバーも一緒に、本業務に通じるAI研究・開発を行ってきました。

成果としてはマイナビバイトの求人原稿生成AIの開発や会議の議事録作成の工数削減ができる議事録文字起こし&要約生成など言語モデルを活用したAIがリリースされ、当社では求人原稿含めて、テキスト量を扱うことが多いため、これにより業務のスピードと効率が向上しました。
多様な職種、経験を持つメンバーが集うことで、新しいアイデアや発想が生まれ、様々な案件が実現されたと感じています。

AIと人事の共通点は人の可能性に向き合うこと。

AIがどれだけ進んだとしても、マイナビのサービスは、基本的に「人」が中心にあることに変わりません。「対ユーザー・対クライアント・対社員」どれを対象にしても、人の可能性に向き合うということが根底にあり、社員がより活躍するために AI を使うことによって、業務効率につながります。

例えば、営業がクライアントとの接点の時間を増やすことができれば、商談レベルを向上することにつながります。そういうことに時間を使っていきたいなと思っています。人事も同様に人の本質に向き合う仕事なので、そういう面では共通だと感じています。 

今後のミッションは、AIを基軸とした「事業・プロダクトづくり」と、AIを活用した「生産性の向上」です。「事業・プロダクトづくり」では様々なデータ統合が進む中、新しいイノベーションが起こしやすい土台をつくること。またAIの活用による経営インパクトは非常に大きく、社員がAIを活用しながら「生産性の向上」を目指しています。例えば、インタビューにおいても会議の録音を自動で文字起こしをして、内容を原稿化するなど、AIを活用した業務効率化が進められています。

これからの時代はAIをつくることよりも、AIをどう使いこなすかが重要。

すべての業界が生成AIによる大規模な変革の時期に突入しています。特に日本は労働人口の減少など、世界的にみても急激な人口構造の変化に直面します。その中でAIを活用した取り組みは、より一層進むと考えられる一方で、技術の進歩も非常に早く、数ヶ月前の最新技術がレガシーになることもあります。これからの時代はAIをつくることも大事ですが、それ以上にAIをどう使いこなすかが重要になります。

AIを使いこなす人材が求められ、ビジネス視点を持つことが大切です。既存のサービスが何十年も続かないかもしれないと想定した場合、変化の一つとしてAIが重要なポイントになると感じています。

就職活動に関しても、自己評価やエントリーシートの作成にAIを使うことが当たり前になっていくと考えます。そのためにキャリアデザインの世界観が変わり、学びと仕事の接続が重要になっていきます。新卒であれば、中学・高校・大学まで、学んできたことや自分の考えを蓄積することで、選択肢や未来の見え方が広がるなど、AIによって多くの示唆が得られます。

私たちの仕事も、例えばCA(キャリアアドバイザー)の仕事がAIに置き換わるのではなく、AIが求職者の希望条件で求人をピックアップし、CAは求職者の志向性に向き合うことで、より良いマッチングが実現できるのではないかと思います。人の可能性とAIを組み合わせることによって、マイナビの強みがより活かされるんじゃないかと思います。

人の可能性を最大限引き出すAI活用を進めていく。

AIが進化することで、日常生活がパーソナライズされ、とても便利な世の中になると思います。一方で、パーソナライズが進むほど、人とのつながりやコミュニケーションの価値が高まると考えています。就職・転職など「働く」重要な決断において、自分自身が気づいていない可能性を引き出すことが、マイナビのサービスの強みになっていくと考えます。

マイナビは、多角的な事業と圧倒的な顧客接点があります。それぞれのデータを統合し、選択肢や未来のキャリアパスを提案することで、ユーザー体験を向上させる取り組みを進めています。企業の求人情報とユーザーのデータを組み合わせることで、最適な転職先を提案したり、転職先の社内情報を組み合わせて、配属先を提案することも可能です。人の可能性を最大限引き出すAI活用を進めていくことで、マイナビを使ってくださるユーザーや社員一人ひとりに明るい未来を提供することを目指していきたいです。