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不採用を覆した「私のトリセツ」プレゼン。「障がい者の社会参加に貢献する」夢を持ち挑戦を続ける、マイナビでの10年間

2022年10月現在、マイナビグループ全体では約12,400名の社員が働いています。年齢、性別、国籍も多様な社員がいる中で今回は、営業職として活躍している橋本さんにお話を聞きました。

橋本さんには視覚障がいがあり、全く見えない状態で生活されています。社内では白杖を持って移動し、基本的に業務は一人でこなしています。

入社10年目の橋本さんですが、就活時には一度マイナビの面接で不採用になりました。しかし自分の「トリセツ」を作って再度面接に臨んだことが、不採用を覆して今の橋本さんの活躍につながったとのこと。

今回は自分の可能性に向き合い、「障がいがある方の自立や社会参加に貢献できるような仕事をしたい」という夢に向かって突き進む橋本さんのインタビューをお届けします。


【プロフィール】
橋本晶弘(はしもと・あきひろ)
医療・福祉エージェント事業本部 大阪事業推進課

2012年に株式会社マイナビに入社。
大阪支社にて転職情報サイト『マイナビ転職』の営業資料作成業務に従事。
その後、紹介事業本部へ異動し、医療従事者の転職サポートを経て現在は企業に対して人事系の各種ツールやシステムの提案営業に携わっている。

「障がい者の社会参加に貢献したい」という夢

私には生まれつき視覚障がいがあります。中学生の頃までは0.05ほど視力がありましたが、徐々に視力が低下し今は全く見えません。

中学生の頃から「将来は障がいがある方の自立や社会参加に貢献できるような仕事をしたい」という夢があり、大学では福祉学を学びました。

3年生の11月、授業の一環で現場実習生として障がい者専門の就職支援施設へ行ったのですが、そこで障がい者の就活の厳しさを知りました。リーマンショック真っ只中だったこともあり、とにかく内定が出ないのです。

障がい者の募集自体も少ないですし、応募要件を満たしていても、面接にすら進めないという状況でした。自身の就職活動も間近に迫っている中で大きな不安を感じたことを覚えています。

ただそれと同時に、同じ思いをする方を減らしたい、自分が第一線で働くモデルケースになりたいと思うようになり、「障がい者の雇用促進を目標にしよう」と決心しました。

自分の「トリセツ」を作り道がひらく

実際、私自身の就職活動も非常に苦労しました。100社近くエントリーしましたが書類選考での見送りがほとんど。

仕事を通して、「雇用促進で障がい者の社会参加を支援したい」と思っていたため、雇用に関わる事業をしているマイナビへの志望度は特に高かったのですが、実は面接で一度不採用になっています。

その後、マイナビ以外にも内定をいただける企業がなく、ストレスからか耳が聞こえづらくなってしまい、一度体調を整えようと就職活動を休止し、自分自身を振り返る時間を作ったことが私にとっての転機でした。

とある面接のフィードバックで、「人柄は社風にはフィットしているが、前例がなく橋本さんに働いてもらえるイメージを持つのが難しい」ということを言われたことがあり、その言葉を思い返しました。

「イメージが持てないなら、イメージをつけさせればいいんだ!」と気づき、「自分のトリセツ(取扱説明書)」を作り面接でお渡しすることにしました。トリセツには、「どのように見えているのか」「どのように移動しているのか」など自分についての情報と、業務に生かせるPCスキルについて記載しました。1分間のタイピング数など客観的な数字を記載したうえで、面接時に自分のPCを持参して実演もしました。

結果、とても反応が良く内定ももらえるようになり、徐々に自信がついてきました。

そして一度不採用になったマイナビでしたが、入社を諦めきれず、当時の採用担当に「5分だけ会ってほしい」とお願いして、同様のプレゼンをさせてもらいました。最終的には内定に至り、嘱託者として入社し、現在は正社員で働いています。

常にチャレンジを求めて。マイナビでの10年間

私が入社した2012年当時、マイナビでは障がい者は中途社員しか採用していませんでした。新卒社員の障がい者は私が初めてでしたし、障がい者の中でも視覚障がい者の採用は私が初めてだったそうです。

1年目は転職情報サイト『マイナビ転職』を運営する部署で、主に営業資料の作成を担っていました。

2年目に異動を希望して、看護師の転職サポートや、新規の法人営業を担当しました。当時は有資格者の有効求人倍率は高かったのですが、それでもなかなか企業から内定をもらえずに、不安を抱える方のサポートをして無事入社までお手伝いできた時は嬉しかったですね。「内定を取ることが難しい方の支援がしたい」と再認識できたきっかけでもありました。

現在は営業職として、企業へ人事系のクラウドシステムや従業員の定着・マネジメントに活かせるようなツールなどのご提案をしています。

一人でできること、サポートをしてもらうこと

私が普段どのように仕事をしているのか、少しお話しします。私が所属しているのは課長と私ともう1名の3名のチームです。企業への架電、オンラインでの商談、サービス導入後のサポートなどを行っています。

PC画面上のテキストを読み上げるソフトを使って、デスクワークは一人でこなしています。商談も基本的にはオンライン実施で移動の補助も不要ですので、私一人で対応しています。

ただ、自身で作成したエクセルやPDFなどのファイルをチェックしてもらったり、音声の読み上げがうまくいかず自身で操作できないシステムを代理で操作してもらったり、周囲にも様々なフォローをしてもらっています。


入社11年目になり、社内で私のことを知っている社員も多いので、先回りして必要なサポートをしてくれることが多いです。

入社当初に比べて、周囲のサポートを借りずに一人でこなせる業務は増えたのですが、それによって顧客に不便な思いをさせていないかということは常に考えるようにしています。

相手の表情の変化が分からない分、声のトーンや相槌の打ち方など、声の反応を特に注意して聞いています。例えばあまり理解できないまま「大丈夫です、わかりました」とおっしゃるときは、声から迷いが感じ取れます。その時は追加で丁寧にフォローしています。

今は障がい者の社会参加支援とは直結しない業務をしていますが、相手の反応を見て本質を探り、課題を顕在化する力が身についていると思っているので、将来的には夢の実現に繋がると思っています。

10年経っても同じ夢を追っている

今後やりたいことも中学生の頃から全く変わっていません。「障がいがある方の自立や社会参加に貢献できるような仕事」です。

これまでの経験を活かして就職のサポート、その後の定着支援、そして学生や家族のみなさんには様々な選択肢や情報の提供など、障がいがある方の自立・社会参加に向けて色々な形で携われたらと思っています。


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