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探究学習を通して地元企業の魅力を知ってほしい。高校生向けプログラム『locus』の開発秘話

こんにちは、マイナビnote編集部です。

最近よく耳にする、「探究学習」という言葉をご存じでしょうか?

「探究学習」とは、自身で見つけた課題に対し、自分なりの方法で答えを導き出すーーー正解のない中で「考える力」を養うための学習のことをいいます。
変化の激しい社会では、決められたことだけではなく、自ら考え行動を起こしていく能力が求められ、それはこれからを「生きる力」ともいえます。

2022年より高校生を対象に、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行う「総合的な探究の時間」が必修科目になりました。

マイナビでも、高校向けに探究学習プログラム『locus(ローカス)』を展開しています。そこで今回は、『locus』の発足人でもあり、「探究学習」を通して地域活性化という社会課題解決にも挑むマイナビ社員にインタビューしました。

【プロフィール】
天本 貴之(あまもと・たかゆき)
2008年、マイナビに中途入社。進学情報事業部の営業として、主に大学・専門学校の広報支援業務、自治体連動型イベント企画、キャリア系雑誌などに従事。
2019年より『locus』事業立上げのために、全国自治体と協議を重ね、経済産業省「未来の教室」に採択され実証実験開始に至る。2020年に北海道庁とのタイアップ事業として、北海道のみで『locus』を先行リリース。
2021年からは全国展開を開始。

ー探究学習プログラム『locus』提供を通して「地域活性化」を目指す

『locus』は、企業の繋がり(サプライチェーン)やイノベーションの事例をヒントに、企業と共に地域や社会の課題解決法を考える、高校生向けの学習プログラムです。
「総合的な探究の時間」を中心に、各地の高校でご活用いただいています。

全国各地の企業協力の元、高校生は職場見学などを通して、企業は普段どんな仕事をして、課題に向き合っているのか?を学び、それを活かした新たな進路選択を行っていきます。また、地域の課題などを企業と共に考え、その企業の「しごとの中身」も知ってもらいます。

実際の職場体験の様子

「総合的な探究の時間」で地元企業やその仕事内容を知る機会を作ることは、将来的に地元を離れる時、“いつかまた地元に戻りたい!”と思う高校生を育てることにもつながります。

そして、それは教育を通した地域活性化とも考えています。

『locus』サービスロゴ

『locus』というプログラム名には「local(地域)」に「focus(焦点を当てる)」という意味が込められています。
アイコンには、帰巣本能のある蜂を採用しました。「地元に戻りたいと思う高校生を増やすこと」を目標として掲げる『locus』には合うかなとは思ってますが、戻って来ない蜂もいたり曖昧な感じもあっていいなと思い採用しています。また、「ハチ」には天才数学者と呼ばれる側面もあり、高校生の今後のポテンシャルにも繋がるかなと思ってます。

ーそもそも高校生は地元に企業があることをよく知らないのではないか……?

『locus』を開始したのは3年前。
2022年から始まる科目「総合的な探究の時間」の必修化に向けて発足しました。

もともと、高校生向け進路情報サイト『マイナビ進学』を運営する部署にいたので、マイナビとして「高校生への支援」という点で何か新たにできることはないかを、常に考えていたんです。
また、事業を継続していくためには利益を生み出す必要がありますが、それ以上に、社会課題の解決にきちんとつながるサービスとは何か?を考え抜いたところ、現在の『locus』にたどりつきました。

下記図は、高校時代までの地元企業の認知度別に、Uターン就職希望有無についてアンケート結果をまとめたものです。

図:出身市町村へのUターン希望~高校時代までの地元企業の認知程度別~

出典:独立行政労働政策研究・研究機構「UIJターンの促進・支援と地方の活性化-若年期の地域移動に関する調査結果-」(2016年)

もともと地元企業を知っていた若者は知らなかった層と比べ、地元へのUターン就職を希望する割合が高いことがわかります。

東京一極集中といわれている昨今、若者が地方から都会へ流れてしまうことは大きな社会課題です。
しかしこの結果をみて、「そもそも地元に就職できる優良企業があることを知らないから、都会への就職を希望しているだけの若者も多くいるのではないか……?」と考えました。

そこで将来的な「地元就職希望者」を増加させることで、地域活性化を目指すべく、『locus』のプログラム設計を行うことにしました。

無謀と思われるかもしれませんが、マイナビが本気で『locus』で地域創生に取り組めれば、きっと日本を変えることができると思っています!笑

ー『locus』を通して高校生に伝えたいのは、企業に学び「生きる力を身につける」こと

しかし、大きな目標を掲げたのは良いものの、高校現場や地元企業に受け入れていただくには時間がかかりました。

『locus』は主に進学希望者を対象とした、探究学習プログラムです。
高校からは、「これから進学する高校生が地元の企業の“今”を知ることに、どれだけ意味があるのか?」という厳しいご意見をいただいたり、地元企業は就職希望者ではない高校生を受け入れることに抵抗を持たれていたり……。

もともと「高校生の企業見学は就職希望者が行うもの」という意識が強かったため、新しい取り組みとして受け入れてもらうのはとても難しかったです。

そこで、皆様にお伝えしたのは、
「locusで学ぶのは、企業についてだけではない」ということ。

地元企業が行うプロの課題解決の現場に触れることは、高校生たちが自分の進路を考え、主体的に学び、自身の課題解決に向けて動くきっかけになると思っています。

“彼らに、これからの社会を「生きる力」を身に付けてほしい。
それと同時に、『locus』を通じて地元企業を知り、サプライチェーンを学ぶことで、自身の進路選択における視野を広げてほしい。
そして、自身が経験した事を友達とも共有し合い、更に多くの企業を知れることで「地元で働きたいと思える企業がこんなにたくさんあるんだ!」と知ってほしい。
だからこそ「総合的な探究の時間」に、このプログラムを経験してほしい。”

こういった考えに、徐々に共感をいただくことが増えました。
コロナ禍で急遽、フィールドスタディ(職業見学)がオンライン実施になったり、動画視聴型でのプログラム提供も増えたりしましたが、発足から早2年がたち、着々と導入いただける高校が増えています。
高校に『locus』をご案内する当社のメンバーの意識もすごく高く、本気で高校生の事、地域の事を考えています。

ー高校生からの「地元にこんなすごい企業があるとは知らなかった!」という声

様々な困難を乗り越え、今、『locus』は徐々に地域社会に普及してきています。

プログラムに参加した高校生からは、「地元にこんなすごいことをしている企業があるなんて知らなかった!」「進学で地元を離れる予定だが、就職のタイミングで地元に戻りたいと思った!」等のお声をいただきました。

一方で地元企業からも「業界を早い段階で知ってもらうことができた」や「高校生の新たな視点に触れることができて、自分たちも勉強になった」など、ポジティブなご意見をいただいています。
そうやってありがたいことに、各方面から嬉しいお言葉をいただけて『locus』が地元企業と高校生の架け橋となっていることを実感します。

ーこれからの『locus』は、より地域と連携できるプログラムへ

発足から3年目、『locus』は徐々に認知度が高まり、お問い合わせをいただくことも多くなりました。

しかし、マイナビだけでできることにはどうしても限りがあります。
今後はさらに自治体・経済団体などの方々と連携しながら、新しくより地域のため・高校生のためになるプログラムを構築していきたいです。

そして、まだまだ『locus』は発展途上です。
当初目標に掲げていた「地域活性」という社会課題の解決に向け、今後も『locus』をさらに全国に拡げていきたいと思っています!


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