プロサッカー選手から営業兼大学院生へ。学びなおしが拓いた第二のキャリアとは
育児・スポーツ・音楽・ダンス・推し活など…
働き方の多様化が進むいま、仕事と別の活動を両立して、自分のライフスタイルを確立している人も多いと思います。
連載企画『わたしの「#もうひとつのかお」』では、仕事以外の「かお」を持つマイナビ社員に、その活動にかける想いや、両立法について聞いていきます。
読者の皆さんにとって、ご自身のワークスタイルを考える“ヒント”になれば嬉しいです。
今回は、プロのサッカー選手を引退後、マイナビでキャリアアドバイザーを務めながら、大学院に通う、ライフキャリア事業本部の鹿山拓真にインタビューしました。
大学院進学を決めたのは「自分を変えたい」という想いだったそうですが、今は「誰かのために」と学ぶ目的が変わったそうです。
そんな鹿山に引退直後の心境の変化や現在の生活スタイル、キャリア支援に掛ける想いなどを伺いました。
【プロフィール】
ライフキャリア事業本部 アスリートキャリア事業統括本部 キャリア推進部 CA2課
鹿山 拓真(しかやま たくま)
2018年3月~2022年11月 サッカー選手としてJリーグで活躍。2023年、株式会社マイナビに入社し、アスリートキャリア事業統括本部のキャリア推進部にて、キャリアアドバイザーとして活躍。同年、大阪体育大学大学院に入学。出身は長崎県で1児のパパ。自宅は長崎、大学は大阪、単身赴任で東京という3拠点生活をしている。
プロサッカー選手から大学院生へ、そして会社員としての新たな挑戦
マイナビに入る前は、プロサッカー選手として夢を追いかけていました。
大学を卒業してからJリーグで約5年間プレーをしていましたが、26歳の時に試合中の怪我でそのキャリアに終止符を打つことになりました。選手を続けたいけど、続けられない。これまでの人生のすべてだったサッカーを諦めなければならない現実は、精神的にもかなり厳しいものでした。
これまでサッカー一筋で生きてきたので、一般企業に勤めた経験もなく…会社員というステージに立った時に自分に何ができるのかもわからず、引退後の先行きが全く見えない状態だったんです。
そこで、少しでも転職する時に困らないよう、まずは就職するという選択肢を取らずに、大学院で学びなおす道を選びました。
当初は、「経済学」を選び、企業間のお金の動きを学ぶことが、今後仕事を始めたときにも役立つだろうと考えていました。でも、選手としての経験を振り返るうちに、球場の資金やスポンサーなど「スポーツとお金の動き」ついて深く考えるようになり、スポーツと経済に関する「スポーツマネジメント」を研究できる大阪の大学を選びました。
入学の申し込みをした後に「学びなおしができた後に備えて、就職の情報を集めなければいけない」と思い、アスリートのセカンドキャリアを支援している『マイナビアスリートキャリア』に登録しました。ご縁があって、進学を決めた直後にマイナビへの入社が決まったんです。
ありがたいことに、想像していたよりも早い段階で就職が決まったので、授業が多い1年生から、家庭と学業と仕事を両立するのは、正直不安でした。
子どももまだ小さいので、家族から反対されるのではないかと少し心配だったんです。でも、妻は「真面目に頑張ってね」と即答してくれました。
家族の理解ってとても重要だと思っていて、やりたいことを応援してもらえる環境にいることはとても恵まれていると、日々感謝しています。
学校・仕事・家庭の両立のためには、物理的な課題が
僕の生活は、物理的にハードです。家族は長崎にいて、大学は大阪にあり、そして職場は東京。この3拠点を行き来する生活を送っているのですが、決して楽ではないです。
正直、移動時間も長いので、効率の悪さに悩んだことはあります。
それでも、「学校をやめよう」と思ったことは一度もありません。
むしろ、どうすればもっと効率よく両立できるかを常に考えながら生活しています。
たとえば、授業がある日は職場にお休みをもらうことも多いので、授業がない日に合わせて仕事のスケジュールを調整して、迷惑がかからないようにしています。帰宅後は子どもと遊ぶ時間を大切にし、土日や夜を学校の課題の時間に充てています。
優先順位を明確にして、緊急度の高いタスクと長期的なタスクを整理しながら取り組むことが、僕の生活の成功の鍵だと思っています。
「スポーツマネジメント」の学びは、仕事にも変化が
大学院で学んだことは、キャリアアドバイザーという今の仕事に活かせているし、「身になっているな」と思うことが多いです。
例えば、求職者の方と面談する時に、「ありのままでいてほしい」と伝えることです。「面接で上手に話す必要はなく、自分自身で勝負してほしい」や、「僕との面談では固くならず素直に思ったことを話してほしい」と伝えています。
「面接だったら、戦略をたてて、対策したほうがいいのでは?」と思いますよね。
「スポーツマネジメント」の授業で学んだのですが、伸びる選手は根本的な「素直さ」を持っているとされています。
求職者の方も自分を作りすぎないほうが面接で力を発揮できますし、入社後のミスマッチも少なくなるので、高い効果が得られるんですよね。
僕自身がこういった学びをしたからこそ、自信をもって求職者の方に「素直さ」という武器を最大限に発揮してほしいと伝えられてるんです。
「鹿山さんが担当で良かった」「自分のありのままを出してきてという言葉をもらえたことで、すごく自信が持てました」と言ってもらえた時には、今までの努力が報われたように感じますし、とてもやりがいのある職業だと思っています。
それと同時に満足することなく、「もっと研究を重ねて、高い質を求職者に提供できるのでは?」と考えるので、現状に満足しないのが僕の強みかもしれません(笑)
学び続ける人生の豊かさ
振り返ると、大学院への進学は、僕にとって人生の再出発でした。
最初は大変なこともありましたが、今ではこの生活がとても楽しく、充実してます。
学びなおしを始めた当初はただ「自分を変えたい」という思いでしたが、今では「誰かのためになることをしたい」という気持ちが強くなっています。学んだ知識や自分の研究を、求職者や学生・職場に還元していきたいと思っています。
スポーツ選手だった過去も、大学院生として、キャリアアドバイザーとしての現在も、全く違う道ですが、すべてがつながり合って今の僕です。
あの時怪我をしなければ、と思ったことは何度もありますが、今の僕があるのでもう後悔はありません。
いままでの経験を大切にしながら、これからも挑戦し続けていきたいと思います。