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「自分の意見が上手く言えない人」にプロ野球・由規選手がアドバイス! 捨てるべきは「〜しなきゃいけない」という考え方<木曜日の相談室 vol.15>

目まぐるしく変化する毎日、慌ただしく駆け抜けた今週もあと少し。そんな木曜日の1日に、ほんの少しだけ気持ちが軽くなれるお部屋、「木曜日の相談室」

第8回目のゲストは、プロ野球選手の由規(よしのり)選手。「いま、わたしが相談したいこと」をテーマに相談を募集し、由規選手に話をお聞きしました。

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由規選手 プロフィール
宮城県仙台市出身のプロ野球選手。過去には東京ヤクルトスワローズや東北楽天ゴールデンイーグルスに在籍。2021年に埼玉武蔵ヒートベアーズに入団し開幕投手を務め、シーズンを通してチームの勝利に貢献した。今年からは選手だけではなく投手コーチも務め、チーム地区優勝2連覇に力を注ぐ。

相談①「自分の意見が上手く言えません」

仕事の会議や打ち合わせで「あなたはどう思う? あなたの考えを聞かせて」と言われると困ってしまいます。自分の軸やここだけは譲れないという物が無いのが悩みです。由規さんご自身の軸、またそれを貫く為に意識している事があれば是非教えて頂きたいです。宜しくお願い致します!

「何か意見を言わなきゃいけない」という考え方を切り替えよう

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僕もコーチを兼任するようになってから会議に出席することが増えました。でも、人前で話すことが苦手なので、実はあんばたーさんと同じような悩みを持っています(笑)

会議では「何か意見を言わなきゃいけない」場面も多々ありますが、僕としては、そもそもそういう考え方がダメなのかな、と思い始めています。というのも、「〜しなきゃいけない」と思えば思うほど、言葉が出てこなくなっちゃうんですよ

なので、まずは人の話をよく聞いて、思ったことを何でもいいから発言するのが大事ではないでしょうか。僕も意識していますが、メモを取る習慣をつけるといいと思います。箇条書きでもいいし、感想でも大丈夫。まずは書いてみることで頭の中の整理がつきますし、何か聞かれたときに言葉で返すことはできると思います。

別に正しい返答になっていなくてもいいと思うんですよ。発言することに意味があると思うので、まずは話を振られたら何か喋ってみましょう。僕も今まさに挑戦中なんですけどね(笑)

「できるようになるまでやる」という信念

「自分の軸やここだけは譲れないという物が無いのが悩み」ということですが、僕ももともと優柔不断です。でも、野球に関しては譲りません

ピッチャーはキャッチャーとの阿吽(あうん)の呼吸が求められますが、例えばピンチの場面で僕の思っている球と違うサインを出されると、「その球種だと打たれちゃうかもしれない……」と思いながら投げることになります。実際に、そういう迷いがあると大体の場合は打たれちゃうんです。逆に、キャッチャーと意見が一致しているときはほぼ抑えられます。

意見が合わないときは一度呼吸を整えますが、やはりデリケートなところで、一度崩れたリズムはなかなか取り戻せません。そういうこともあって、自分が一度思ったことは譲らず、しっかり貫くことにしています。

「軸」について言うと、僕は「できるようになるまでやる」という軸というか、信念を持っています。僕は本当に不器用で、他の人はうまくできているのに自分だけうまくできないことが小さい頃から多々ありました。そのもどかしさや恥ずかしさが嫌いというか、耐えられないんですよ。

例えば、野球には「ラダー」(※)というトレーニングがあるのですが、周りがうまくできているのに、自分だけは足が合いませんでした。それがすごく恥ずかしくて、練習後も家の廊下にテープを貼って、できるようになるまでひとりで練習を繰り返しました。
(※)ハシゴのような形状の器具の上を、さまざまなステップを踏んで行うトレーニング

できなかったことができるようになるって、すごく気持ちいいんですよ。その達成感を知っているからこそ、「できるようになるまでやる」という信念を未だに持ち続けているのかもしれません

身体がボロボロになるまで野球を続ける理由

とはいえ、いつも軸を貫けるかというと、そう簡単ではありません。僕はプロ野球でも怪我ばかりで、投げたくても投げられない時期が続きました。さすがに「もうダメかも」と諦めそうになったこともありました。

でも、それではリハビリしてきたことが全部無駄になってしまいます。だから、「肩に痛みがあるから辞める」のではなく、「どう投げれば痛まないか」を考えることにしました。

実際にマウンドに復帰したときは嬉しかったですし、リハビリが報われた達成感も感じました。そのあとにまた怪我をしてしまいましたが、「またあの歓声を浴びたい」「頑張ればまたあの瞬間を味わえるかもしれない」という一心でリハビリに励みました。

辞めるのは簡単だし、いつかは「もう辞めなさい」と肩を叩かれる日もきます。だったら、身体がボロボロになって「もう野球はできない」というところまでやりたい、と思いながら今も野球を続けています。

ヤクルト監督から教わった「自分が選んだ道が正解だ」という意識

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繰り返しになりますが、僕はもともと優柔不断でした。でも、今は決断する瞬間に遭遇したら、東京ヤクルトスワローズの高津臣吾監督に言われた、「自分が選んだ道が正解だと思って突き進みなさい」という言葉を思い出すようにしています。

自分で「これが正解だ」と思って選んだ道であれば、困難に突き当たっても「いや、これが正解なんだ」と踏ん張れます。以前は自分の選択にも発言にも自信が持てなくて、何でも無難な方を選びがちでしたが、自分が選んだ道が正解だと思って行動するようになってからは迷いがなくなりました

「怪我さえしていなければ……」と言われることもありますが、僕自身は怪我したことも間違いじゃなかったと思っています。怪我をしたから考えさせられたこともありますし、怪我をしたから出会えた人もいます。むしろ、怪我をしていなければもっと早く野球を辞めていた可能性だってあります。スーパーポジティブと言われればそれまでですが、本気でそう思っています(笑)

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