「将来何をしたいかわからない」という大学生の相談に「まずは心がわくわくすることにトライしてみて」とアドバイス。元モーニング娘。の小川麻琴さんが大切にする原動力とは?<木曜日の相談室 vol.35>
目まぐるしく変化する毎日、慌ただしく駆け抜けた今週もあと少し。そんな木曜日の1日に、ほんの少しだけ気持ちが軽くなれるお部屋、「木曜日の相談室」。
今回のゲストは、元モーニング娘。でタレントの小川麻琴さん。「いま、私が相談したいこと」をテーマに相談を募集し、小川さんに話をお聞きしました。
小川麻琴さん プロフィール
相談①「周りが行動するなか、将来なにをしたいのか決まっていなくて焦っています」
意気込む必要なし「わくわくすること」に手軽にトライしてみて
あおさんの気持ち、とてもよくわかります。自分のやりがいを見つけてイキイキしている人には、目が行きやすいですよね。特にあおさんは大学生になったばかりで、“将来”や"社会”を意識する年齢だからこそ、余計に焦るのではないでしょうか。
まず言えるのは、好きなことややりたいこと、将来したいことって、見つけようと思って見つかるものじゃないと思うんです。
「ちょっとでも楽しそうなこと」「少しでも心が動くこと」などをリストアップして、まずトライしてみるのはどうでしょう。「絶対にこれを形にしなきゃ!」と意気込む必要はないし、「絶対に将来に繋げるぞ!」と大きな目標を掲げると踏み出しにくいですが、「あそこのパン屋さんに行ってみたいな。」とか「あの美術館に行きたいな。」とか、まずはそんな日常のちょっとしたことでいいと思います。
実際にやってみて楽しかったら「自分はこういうの好きなんだ!」っていう発見に繋がるし、意外とつまらなかったら「私には違ったのかぁ。」と、それもまた発見だし、それくらい肩の力を抜いていいと思います。トライすることって、そんなふうに自分を知っていく作業でもあると思うんですよね。
だからあおさん、まずはちょっとでも自分の心がわくわくする物事を、いくつかリストアップしてみてはいかがでしょうか。普段から、テレビやSNS、友達のオススメなどにアンテナを張っておくと、よりリストアップがはかどるかもしれません。
あとは、友達に「なんでそれにトライしようと思ったの?」とか、興味が沸いたことは恥ずかしがらずに素直に聞いてみちゃうのもアリだと思いますよ。これは私の性格なのですが、人が好きでおしゃべりするのも好きなので、気になった事があれば男女問わず素直に聞いちゃうんですよね。そうすることによって私にはない価値観や視点を知れるし、自分の世界が何倍にも広がります。友達を「いいなぁ。」と思ったときは、自分の世界を広げるチャンスでもあると思いますよ!
グループ卒業後は海外へ留学。事務所をやめてフリーランスで活動
私が芸能界を志した頃って、当時大好きだったSPEEDさんを見て「歌って踊るのって、楽しそうだな!こんな風になりたいなぁ。」くらいの感覚でした。
思えば私は昔から、自分が興味がある事にはトライしてみるタイプの子供でした。
出来る出来ないはあまり考えずとりあえずやってみよう!の感覚で実践していたんだと思います。
2015年、私は所属事務所を退社してフリーランスになりました。今でこそフリーで活動する芸能人の方が増えましたが、当時は珍しくて「なんでフリーに!?」「めっちゃリスキーじゃない!?」と周囲からさんざん言われたものです。でもその時も、あまり深刻に考え過ぎず「とりあえずフリーになってやってみよう!」くらいの気持ちでした。
2006年、モーニング娘。卒業後19歳でニュージーランドへ語学留学したときもそう。卒業するにあたり事務所の方と今後のことを話すなかで、『元アイドル』だけじゃ弱いと思ったとき、その後のキャリアについてさまざまな提案がありました。そのなかのひとつが海外留学で、最初は「ダンス留学がいいな」と思っている私がいたのですが、事務所の方から「まずは英語をきちんと学んだほうがいい」とアドバイスを受け、「たしかに英語ができたらかっこいいだろうな!」と考え直しました。
最終的な決め手は「先輩たちが誰もやっていないから」でした。
だって、そのほうがわくわくするじゃない?笑
8月に卒業して、その年の11月にはニュージーランドに行っていました。一人だったけどあまり不安はなく「行けばなんとかなるだろう。」ぐらいな感覚でしたし、どちらかというと「どんな生活が待っているんだろう!」とわくわくの方が大きかったですね。
留学を経て気付けた「やっぱりエンタメが好き!」
帰国したいと思った瞬間は、実は留学開始からわずか半年後に訪れていました。それは2007年5月、メンバーの卒業公演を観に初めて帰国した時でした。舞台上で活躍するメンバーの姿を見て「やっぱり私、ここ(舞台)にいたい!」と思ったんですよね。でも「1年は留学する」と決めていたので、そこからは日本に持って帰れる資格を得るために積極的に行動するようになりました。最終的に、TOEIC730点取得(ニュージーランドで取得した最終スコア)、英語を母国語としない子どもに英語を教える資格TECSOL、バリスタの資格を取得して、留学から1年3ヶ月後に帰国しました。
一度離れた所からエンタメの世界を見ることでわくわくする自分を再確認できたことは、私の中でも大きな気づきになりました。留学して今までとは違う時間を過ごしたからこそ、「またこの世界でお仕事したい」と思えることができたので、やっぱりトライすることや経験することに無駄なことは無いんだなぁと、改めて実感させてもらいました。
あおさんも、きっとわくわくすることがあるはずです。それが直接お仕事につながるかはわかりませんが、少しずつ辿っていくと、いつの間にかやりたいことに焦点が絞られているかもしれません。ぜひ、自分のわくわくを原動力に小さな事から動いてみてくださいね。
質問②「自己肯定感が低くて、自分に自信がなく、取り柄が見つからない。前向きになるコツを教えてください!」
太陽と月のように、みんなバランスを取っている
私に対してポジティブなイメージを持っていただき、ありがとうございます!「いつも元気でポジティブだよね!」とよく言われますが、私も人間ですからネガティブな面ももちろんありますよ。めちゃくちゃ人と比較してしまうし、「私なんて」と思うこともたくさんあるし。ただただ明るいだけの人なんていないと思います。時には泣いてしまうこともあるし、不安になることや落ち込むことだってあるけど、どの自分も本当の自分だし、そうやって太陽と月のように上手いことバランスを取っているんだと思います。
モーニング娘。の頃もそんな自分と必死に戦っていましたね。13歳でプロの世界に入り、なかなか思うように出来ない自分をメンバーと勝手に比較しては、勝手に落ち込んでいたんです。メンバーのことは当時も今も大好きですが、「あの子はできるのに、私はなんで出来ないんだろう。」とか、自分のできないことばかりに目がいっていました。
そんな気持ちに拍車をかけるように、心ない言葉を言う人もたくさんいました。私のことを応援してくれる人がいれば、一方で嫌いな人も同じようにいるというのは当たり前だと思いますが、どうしてもマイナスな言葉のほうが入ってきちゃうんですよね。どれだけたくさんの人が褒めてくれても、たった数人のきつい言葉が胸に刺さってしまうんです。
毎日がんばっている自分を、褒めて、認めてあげる
そんな中、応援してくれる人の声が何より励みでした。ファンレターが、一番エネルギーになるんです。「しんどいな」と思ったときはファンレターを読み、応援してくれる人のために「がんばろう!」と乗り越えてきました。ステージ上から見える笑顔もすごく力になります。楽しんでくれてる顔を見るたびに、私は救われてきました。
「私なんて」と思うときって、自分自身を認めてあげられないときだと思います。たとえば友達が「私なんて」と言っていたら、「あなたはこんなに素敵なのに、なんでそう思うの?」と思うじゃないですか。でも、自分のことになると否定してしまう。
だから私は最近、なるべく自分を労わってあげたり認めてあげるような言葉を自分自身にかけてあげるようにしています。寝る前に「今日もよく頑張ったね、ありがとう。朝までゆっくり休んで、明日も楽しもうね。」と自分の体をぽんぽんと撫でてあげたり。
人に対しては「ありがとう」ってよく言うけど、自分の体に対してはあまり言わないですよね。だから私は、意識的に言うようにしているんです。
「学校の先生が長所を挙げてくれた」とのことですが、たぶん先生は、本心から言ってくれていると思います。そんなことはないと思うのは簡単ですが、「私ってそういうところがあるんだ。褒めてもらってうれしい!」とありがとうの気持ちで受け入れてみると、少しずつ暗い気持ちから切り替えていけるような気がします。
ご自身でも「時間通りに起きることができた」とか「今日やろうと思っていたことをちゃんとできた」とか、そんな小さなことをピックアップして、自分を褒める習慣を作っていってみてはどうでしょうか。
私もみおなんさんと同じように悩むことだってあるし、常にポジティブな人間ではないんです。だから一緒に成長していきましょう! 私と同じように寝る前「今日、できたこと。がんばったこと。」をぼんやりと考えて、自分を労ってあげる事から始めてみて下さい。
みおなんさんの大切なお友達にかけるような、そんな優しい温かい言葉を、ぜひ自分自身にもかけてあげてくださいね。