見出し画像

自分の居場所をつくるヒントは「譲れないもの」。『だんな様はひろゆき』原作者の西村ゆかさんが語る夫婦の居場所のつくりかた「<木曜日の相談室 vol.24>

目まぐるしく変化する毎日、慌ただしく駆け抜けた今週もあと少し。そんな木曜日の1日に、ほんの少しだけ気持ちが軽くなれるお部屋、「木曜日の相談室」

今回のゲストは、Webディレクターで翻訳ライター、そして『だんな様はひろゆき』の原作者・西村ゆかさん。「いま、わたしが相談したいこと」をテーマに相談を募集し、西村さんに話をお聞きしました。

※インタビューにはパリからオンラインでご対応いただきました。

西村ゆかさん プロフィール
東京都北区出身。インターキュー株式会社(現GMOインターネットグループ株式会社)、ヤフー株式会社を経て独立。2015年よりフランスへ移住。人間観察と読書、旅先で美味しいコーヒー屋を探すのが趣味。書籍『だんな様はひろゆき』原作担当。

相談①「物事をポジティブに捉える方法が知りたいです」

たむりんさん(30代・女性)
メンタルがとても弱くて悩んでいます。働いている洋服店でのクレーム対応時や、上司から嫌な事を言われたとき、すぐ泣きそうになったり、何日も引きずったりしてしまいます。31年も生きているのにどうしてこんなに弱いのか、他の人はそこまで気にしていなかったり、ポジティブに捉える事ができるのにと思っています。なにか方法はありますでしょうか。

「落ち込んで泣きそうになる」のは必ずしも悪いことではない

まず、「物事をポジティブに捉える方法」ですが、私も何か問題が起きたときは、基本的にはネガティブ思考から入って、一人反省会を経てから「そんなにネガティブに考える必要はないか!」とポジティブ思考に巻き戻すタイプの人間です。実は私もたむりんさんに似ていて、何かあるとすぐ泣きそうになっちゃうほうなんですよ(笑)。

例えば昨日も仕事でインタビューを受けたのですが、全然うまく答えられず、取材が終わったあとに一人反省会をして、「なんでこう喋れなかったんだろう」「もっとこう言っておけばよかった」「私のバカバカバカ!」とずいぶん落ち込みました。

ただ、昔はそんな自分が嫌だったんですけど、今では「この反省を次につなげるには、どこをどう改善していけばいいか」と考えられるようになりました。そういう意味でも、落ち込んで泣きそうになることは、必ずしも悪いことじゃないと思っています

たむりんさんはおそらく、メンタルが弱いというよりは感受性が高いんだと思います。それは決して悪いことではありません。むしろ「共感力が高い」とも言い換えられますし、特に接客業という仕事では強みとして活かせるのではないでしょうか。

それを自覚したうえで、起きた問題の原因が自分にあるのか、それとも自分以外にあるのかを整理して考えるようにするといいと思います。

問題の原因が「自分」にあるか、「自分以外」にあるかを整理しよう

たむりんさんは、クレーム対応で「すぐ泣きそうになったり、何日も引きずったりしてしまいます」とおっしゃっていますが、クレームの多くはたむりんさん個人に対するものではないような気がします。

洋服店の場合、商品に対するクレームや別の店員さんに対するクレームなども、たまたまその場にいる店員さんが対応しなければならないことが多いですよね。もし、クレームの内容がたむりんさん個人に対するものでないなら、たむりんさん個人が攻撃されているわけではないので、傷つく必要もないはずです。

むしろ、クレームを入れてきたお客さんのほうが困っているのかもしれませんよね。そう考えると、「どうすればお客さんの困りごとを解決できるのかな」と思考も切り替えられると思います。

私も昔、接客業をやっていたことがあるのですが、やはりお客さまに何かを言われるたびに凹んでいました。でも、自分個人が怒られているわけじゃないと気付いてからは、「お客さまが困っているから解決しなきゃいけない」と冷静に考えられるようになったし、クレームを受けても「大変失礼しました。本当にお気の毒でしたね」と心から言えるようになりました。

嫌な上司は心の中で聞き流ししちゃえば気も楽になる!

たむりんさんは「上司から嫌な事を言われたとき」も落ち込むということですが、私も会社員時代は意地悪な先輩がいて、たびたび嫌味を言われました。そういうときは、「機嫌が悪いから私で発散しているのかな。」と心の中で聞き流していましたけどね(笑)。

一方で、本当に自分に対する正当な注意だった場合は、「今後はこういうふうにしていこう」と自分なりに解決案を考えました。そして、その考えが正しいかどうかを上司に聞き、「それでいいんじゃない」、もしくは「もっとこうしたらいいんじゃない」といったアドバイスを仰ぎながら改善点を探っていました。

それによって結果を出せた場合は、「先輩に言われたとおりにやってみたらうまくいきました!」と報告するようにしていましたね。そうすることで、嫌味を言ってくる先輩が“相談に乗ってくれる頼もしい兄貴・姉御キャラ”にスライドするので、この方法はたむりんさんにもオススメです(笑)。

ネガティブな気持ちを引きずらないための方法

また、たむりんさんはネガティブな気持ちを「何日も引きずったりしてしまう」ということですが、私は自分自身に問題の原因があった場合、その場ですぐに改善点を考えるよう習慣づけています。昨日のインタビューもうまく話せずに落ち込みましたが、すぐに「なんでうまく話せなかったんだろう」と振り返ってみました。

そこで考えたのは、ひとつは単に経験値が足りないということ。私はもともと裏方として働いてきたので、そもそもインタビューを受けることに慣れていません。そういうことなら、これから頑張って経験値を増やしていくしかありませんから、これ以上変に思い悩んでも仕方がありません。

もうひとつは、その場では最善を尽くしたけどダメだったというパターンですね。やることをやってダメだったなら、それはそれで仕方がないじゃないですか。「今度はこうできればいいな」と反省もしますが、すでに起きてしまったことはどうにもできないので、「次に同じようなことがあれば、今度はもっとこうしよう」と心に決めて、この話題はおしまいです。

もちろん、それでもネガティブな気持ちを引きずりそうにはなることはありますが、「いやいやいや、これはもう終わったことだよね」と一人劇場を展開して、改めて頭の中で整理してから、「よし、終わり! コーヒーを淹れよう!」と気持ちを区切るようにしています。

たむりんさんも、一人反省会が終わったらコーヒーを飲んで全部リセットしちゃいましょう。実際はみんなそれなりにネガティブなので、たむりんさんも大丈夫だと思います!

相談②「夫が毎日在宅勤務で息苦しいです」

くろくまさん(47歳・女性)
結婚18年、高1、高3の息子あり。夫が毎日在宅勤務で息苦しいです。私もパートで週に10時間程度の在宅勤務。後は主婦です。狭い家にはなかなか逃げ場がありません。夫は、気候の良いときはエアコンのない部屋で作業していますが、エアコンが必要な季節になるとリビングで一日作業&会議します。
リビングはキッチンに隣接しているので家事もままならず、テレビもゆっくり見られません。私は、家にいづらくてダブルワークで外で週に3日仕事をはじめました。夫はすぐ怒るので、なかなか議論もできません。ゆかさん夫婦は言いたいことが言い合えてうらやましいです。最初、いろいろ許して、夫の言いなりになっていた私が悪かったのかなぁ。

「自宅以外」でくつろげる場所を探してみよう

物理的にも精神的にもくつろげる場所が少なく、ストレスが溜まっているけど、旦那さまと話し合える状態にない――という感じですよね。それは確かに問題だと思います。私も私の夫も自分の場所がほしいタイプなので、すごく共感できます。

旦那さまが主に家計を支えていると仮定して、もしエアコンで快適に過ごせる場所がリビングしかないのであれば、やはりどうしても旦那さまが優先的にリビングを使うのは仕方がないとも言えそうですよね。

かといって、エアコンのない部屋にエアコンを付けられるのならとっくの昔に付けていると思うので、きっと何かそうできない事情があるのでしょう。

私たち夫婦は今、それぞれ別々の部屋で仕事しています。夫はよく配信している配信部屋で、私はリビングで仕事をしているので、1日中同じ家にいてもストレスは全然感じません。

仕事が一段落ついたら、ひろゆきくんに「コーヒー飲む?」ってメッセージを送って、リビングで一緒にコーヒーを飲みながら20〜30分くらい一緒の時間を過ごして、またそれぞれ仕事に戻っていくという感じですね。サバンナの水場に動物が集まるイメージに近いかもしれません(笑)

でも、昔住んでいた家はエアコンが全然効かなかったので、夏場だけ図書館やコワーキングスペースを借りて仕事をしている時期もありました。でも、そんな生活も実際はすごく快適で、外に出かけるからちょうどいい気分転換にもなりました。

もしゆっくりくつろげる場所が欲しいのであれば、温泉施設やサウナなんかに出かけるといいと思います。ちょっとした作業もできるし、テレビを見てくつろぐこともできるので、週1回、または月2回ペースくらいでもいいから、そういう日を作ってしまうのもいいと思います。

くろくまさん自身、ダブルワークで収入もあると思うので、リフレッシュのためにお金を使うのは悪くないと思いますし、旦那さまに気兼ねする必要もないはずです。

「どうしても家でくつろぎたいんだ」ということであれば、例えば「週に1回、エアコンのあるリビングでダラダラと過ごす権利を買い取る」ということにして、逆に旦那さまにコワーキングスペースへ行ってもらうのもいいと思います。直接話し合いをするのが難しいなら、テキストで提案してみるといいかもしれません。

夫婦で意見を言い合いたい場合はテキストがオススメ

「言いたい事が言えてうらやましい」とおっしゃっていただいていますが、昔は私たちも直接口頭で言い合っていて、すぐ喧嘩になっていたんですよ。議論どころではなく、私も「もういい! 別れる!」ってよく言っていました(笑)

私は割と感受性が高いほうなので、相手の声のトーンや言葉尻に対し、「なんでそういう言い方するの?」「今の言葉いる?」と敏感に反応してしまうところがあります。なので、ある日を境に、意見が対立したときは口頭ではなく、テキストで伝え合うようにしました。

テキストには声のトーンや大きさもないので、問題点についてだけしっかり話し合えます。この方法にして以降、私たち夫婦はうまくいっている気がしますね。

旦那さまがすぐに怒るということであれば、伝え方には気をつけないといけないかもしれませんね。くろくまさんもいろんな不満を抱えていると思いますが、日頃の鬱憤を噴出させるような言い方だと、単に文句を言っているように受け取られてしまい、話が進みません。やはり、「こういう改善案を考えているんだけど、あなたはどう思う?」と冷静に聞いたほうが喧嘩になりにくいと思います。

「ここまでは我慢するけど、これ以上は譲れない」という領域を設定しよう

あと、「ここだけは譲りたくない」というラインを明確にすることも大切だと思います。例えば、「10分間立ち続けるのはいいけど、6時間立ち続けるのは無理」といったように、「ここまでは我慢するけど、これ以上は譲れない」という領域を決めるんです。

そして、それは相手にも伝えなければいけません。勇気がいるかもしれませんが、世の中には「6時間立ち続けても全然苦じゃない」という人もいるので、直接伝えない限り、伝わりません

私たちが結婚する前、私はひろゆきくんに「結婚したい」と伝えていたのに対して、ひろゆきくんは「結婚という制度の必要性を感じていない」と言っていたんです。そこで、「じゃあ、私はなんで結婚したいんだろう」と考えてみたのですが、最終的に「そうだ、私はウェディングドレスが着たいんだ」という答えに行き着いたんです。

しかも、もともと“こういうウェディングドレスが着たい”という具体的なイメージもあって、それが若いうちに着たほうが似合いそうなデザインだったんですよ。そこで改めて、「私は法的に結婚がしたいというより、挙式をしてウェディングドレスを着たいんだよ」って伝えたところ、ひろゆきくんも腑に落ちたようで、挙式を受け入れてくれたんですよ。

やっぱり、どうしても譲れないものさえ受け入れてもらえないなら、もう一緒にいられないじゃないですか。無理して一緒にいる必要もないですしね。だからこそ、お互いに譲り合って解決していくことが大事なんだと思います。

やっぱりまずは、ゆっくりとくつろげる自分の聖域的なものを早急に作ったほうがいいと思います。定期的に温泉やサウナに行って、タブレットでドラマやバラエティ番組を見てもいいと思いますし、旦那さまと話し合って「毎週何曜日のこの時間は私がリビングを使う」というルールを決めるのもいいと思います。

そうやって少しずつ話し合える関係を築いていって、やがては一緒に朝ごはんを食べたり、コーヒーを飲んだりする時間が楽しめるようになればいいなと願っています。


この記事が参加している募集

これからの家族のかたち

QOLあげてみた

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!