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女子サッカー選手の新たな挑戦!元日本代表選手が語るセカンドキャリア

みなさんは子どものころ、どんな夢を持っていましたか?
「サッカー選手になりたい」「ケーキ屋さんになりたい」「先生になりたい」。それぞれいろんな夢を持っていたかと思います。

しかし、その先の未来まで想像できていた人はあまりいないのではないでしょうか。今回は“サッカー選手として活躍したその先”のキャリアを歩む、元・マイナビ仙台レディースのお二人をご紹介。

世代別のサッカー女子日本代表にも選出された白木星さんと鈴木あぐりさん。高校でチームメイトだった二人は、なでしこリーグでも同じチームでプレー。引退後の現在、お互い新たなキャリアを歩んでいます。

鈴木さんは一足先に引退し、アスリートの就職転職サポートや育成などをおこなう『マイナビアスリートキャリア』のアドバイザーになりました。そして3年後、白木さんが引退を決めたときには、鈴木さんが彼女の転職活動をサポートすることに。

そんなご縁の深いお二人に、チームメイトとして一緒にサッカーをしていた頃の思い出や、現役引退後の転職活動のお話、サッカー経験が仕事に活きていることなどについてお聞きしました。

【プロフィール】
鈴木あぐり(すずき・あぐり):1998年生まれ。小学4年生でサッカーを始める。ポジションはゴールキーパー。宮城県の強豪、常盤木学園高校に進学。卒業後の2017年にマイナビベガルダ仙台レディース(現マイナビ仙台レディース)に入団。 U₋20サッカー日本女代表に選出され、FIFA U-20女子ワールドカップフランス2018では優勝に貢献。2019年に引退し、マイナビのアスリートキャリア事業部で就職・転職支援アドバイザーを経験。現在はマーケティング部に所属し、『マイナビアスリートキャリア』の認知拡大に情熱を注いでいる。

白木星(しらき・あかり):1996年生まれ。小学3年生でサッカーを始める。ポジションはフォワード。宮城県の強豪、常盤木学園高校では1年生からレギュラーとして活躍。在学中に、U-17サッカー日本女子代表に選出されると、FIFA U-17女子ワールドカップ ニュージーランド 2008では3試合で2得点を挙げた。卒業後の2015年に浦和レッドダイヤモンズ・レディース(現三菱重工浦和レッズレディース)に入団。その後マイナビベガルダ仙台レディース(現マイナビ仙台レディース)に2019年に移籍。2021₋2022シーズンはリーグ戦チーム最多得点を挙げ、なでしこジャパンにも選出される。今後の活躍が楽しみにされていたが、シーズン終了後に引退を発表。引退後の現在は、東洋ワーク株式会社にて日本で働きたい外国人と企業のマッチングをサポートしている。

出会いは強豪校サッカー部、雨の日も風の日も続けたシュート練習の思い出

白木星(以下、白木):出会いは常盤木(常盤木学園高等学校:宮城県仙台市)サッカー部だよね。私が3年生のときにあぐりが1年生の新入部員で入ってきたんです。

鈴木あぐり(以下、鈴木):白木さんとの出会いはよく覚えています。入部初日の練習で「常に試合を意識してプレーしろ!」と厳しくもありがたいお言葉をいただいたことが強く印象に残っています(笑)。
当時から世代トップクラスの活躍をしていた白木さんの練習やプレーを間近で見られたことはすごく勉強になりました。誰よりも遅くまで残って、雨の中でも風の中でもシュート練習をし続けていたこともよく覚えています。

常盤木学園高校時代の様子(写真左:白木さん、写真中央:鈴木さん)

白木:これっていう2人の思い出はないけど、グランド外ではくだらない話もたくさんしましたね。私がFW(フォワード)で、あぐりがGK(ゴールキーパー)だったので、シュート練習は特に一緒にたくさんしました。

鈴木:白木さんはいいシュートが決まるまで絶対に練習を終わらせないので、私にとってもすごく練習になりました(笑)。寮生活でも一緒でしたし、いつも色々アドバイスをくれて。最初は怖かったんですけど、特にベガルタ(現:マイナビ仙台レディース)で一緒になってからは、お茶目な白木さんの姿もたくさん見られて、今ではプライベートでも本当に仲良くしてもらっています!

パソコンも使えない、敬語も苦手。自分と向き合ってからがスタート

白木:私はいま、日本で働きたい外国の方と、外国の方を雇用したい企業とのマッチングを支援する仕事をしています。求職者との面談や企業への営業活動、在留資格の書類作成や行政が主催するイベントの運営まで幅広く担当していています。
引退後の転職活動中では、事務職と営業職のどちらが良いか迷っていて、あぐりにも色々相談しました。転職活動を進めていく中で面接時にいまの上司と話す機会をいただき、営業職に進むことを決めました。上司も元々はバレーボールの国体選手として活躍をしていて、「仕事もスポーツと同じように、目の前の課題をひとつずつクリアして上を目指していくんだぞ!」というスタンスにとても惹かれました。

思い出話に花が咲く鈴木さん(左)と、白木さん(右)

鈴木: 白木さんから相談を受けたとき、「慣れ親しんだ宮城県で今後も働きたい」と言っていたので、現在勤めている東洋ワークさん(東洋ワーク株式会社:本社宮城県仙台市)を紹介しました。宮城県にも企業はたくさんありますが、東洋ワークさんには「これからどんどん会社を成長させていきたい」という空気をアドバイザー視点でも感じていました。本来、東洋ワークさんはアスリートの中途採用は行っていなかったのですが、白木さんの今までの経験や人柄をご紹介すると興味を持っていただき、面接を経て採用となりました。採用後に「アスリートとしてはもちろん、一般の経験者採用として見ても優秀な人材が採用できて本当によかった!」とお言葉をいただけたときは嬉しかったですね。

白木:今はおかげさまで毎日が充実していますが、転職活動時は正直大変でした。サッカーしかやっていなかったので、パソコンも使えない、敬語も話せない。それで“25歳”でしたから。たぶん私1人では内定は出なかったですね。あぐりには自己PR作成や面接の練習などにも協力してもらって本当に助けられました。

鈴木:私もそうでしたが、白木さんも「スポーツ経験から得た競技スキル以外の能力を自己認識し、第三者にも伝わるよう言語化する」ことが苦手なように感じました。この課題を克服できるまでは面接でも不合格になるなど、苦労しましたね。ただ、課題を一緒に見つけて、「ここが苦手なんだ」という認識を持ってからの成長スピードはすごかったです。やっぱりアスリートなので、課題さえ明確になればあとはもう練習あるのみで、どんどん自分を表現できるようになっていきましたね。

フォワードとキーパー。ポジションでも違う仕事観

鈴木:サッカーは試合中、常に動き続けるスポーツです。試合中にミスがあっても立ち止まらず、すぐに次のプレーにつなげないといけません。たぶん白木さんは、プレイヤーのときから誰よりも多くシュートを放ってきたので、その判断力とチャレンジ精神が今も活きていると思います。ゴールキーパーのポジションだった私から見ると、フォワードって、失敗に対する抵抗が少なく、ゴールを外しても外しても、「最後の決定機で私がゴールを決めるんだ!」って強い気持ちを持って動いているような気がしています。

マイナビベガルダ仙台レディース(現マイナビ仙台レディース)時代

白木:それはあるかも。あぐりはゴールキーパーだから、どちらかというとディフェンスラインを整えたりとか、規律を守るとか、良い意味で「失敗はできない!」みたいな意識が強い気がします。(笑)
あとたぶん私は、スポーツをしていたからか、打たれ強いほうだと思います。イベントでミスがあったときも、へこたれずに、すぐに次のアクションを考えて動いています。サッカー選手の時もどう次のゴールへつなげるか、どうやったら味方からパスをもらえるかなどを、常に考えながら動いていたので、その癖が自然と身についているんだと思います。

スポーツからしか学べないこともきっとあるはず。

鈴木:「スポーツしかやってこなかったから……」という言葉を、引退したアスリートの方から聞くと、なんだかすごく悲しいんです。スポーツ経験から学べることは沢山あると思っているので。
あとは、現役時代から自身のキャリアについてもっと考える機会があってもいいとは思います。アドバイザーをしていてアスリートの方々からよく聞く不安な声としては「引退後にどんな選択肢があるのか分からない」「自分が何をやりたいのか分からない」「自分に何ができるのか分からない」の3つですから。
ただ、スポーツをしながら転職活動をしたほうがいいと言いたいわけではなく、現役のうちからまったく別の業界の人と会って話す場を持つだけでも、視野も広がりそれがスポーツにも活きると思います。そうした中で自然と将来のビジョンが見えてくればいいと思います。

マイナビベガルタ仙台泉パークタウンサッカー場でボールを蹴る鈴木さん(左)と白木さん(右)

白木:たしかに、スポーツ界は閉ざされた世界のように感じることも少しあります。あとは私の実体験からのアドバイスとしては、最低限のPC操作はできるといいですよね。私も引退後に苦労しましたから。まあでもそれは引退してから1カ月くらいみっちりやれば覚えられるので、あぐりが言ったみたいに外部と触れ合う機会の方が大事かもしれませんね。

鈴木:引退後のことや次のキャリアについて、選手同士で話すことはありますが、みんな不安で、何がしたいかわからない。何をしていいかもわからない。だからこそ、意識的に色んな方と話す場や時間を設けてもいいかもしれないですね。

引退後も輝く!元・女子サッカー日本代表の2人が歩む新たな人生の道

白木:まずは、今の業務をイチから全て一人でできるようになりたいです。サッカーの時もそうでしたが、目の前のことに一生懸命取り組んでいるうちに、自然と次のステップが見えてくると思います。これからもチャレンジと失敗を繰り返し、常に成長をしていたいと思います!

鈴木:アスリートの就労支援を通して、「スポーツをやっていて良かったな」という人を増やしていきたいです。私は、アスリートとして経験できたことは大きな財産だと信じています。サッカーボールを蹴ったり止めたりする技術は、仕事に活かせないけど、スポーツ経験を通じて培ったマインドや、物事の見方・捉え方、目標達成に向けた行動力などに関しては、色んなキャリアで絶対活かせると思います。そんな人を一人でも多く増やしていきたいです!


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